「じゃ……とにかく、そういう計画です」ハーマイオニーが言った。「みなさんが一いっ緒しょにやりたければ、どうやってやるかを決めなければなりません――」
「『例のあの人』が戻ってきたっていう証しょう拠こがどこにあるんだ」ブロンドのハッフルパフの選手が、食ってかかるような声で言った。
「まず、ダンブルドアがそう信じていますし――」ハーマイオニーが言いかけた。
「ダンブルドアがその人を信じてるって意味だろ」ブロンドの男子生徒がハリーのほうに顎あごをしゃくった。
「君、いったい誰」ロンが少しぶっきらぼうに聞いた。
「ザカリアス・スミス」男子生徒が答えた。「それに僕たちは、その人がなぜ『例のあの人』が戻ってきたなんて言うのか、正確に知る権利があると思うな」
「ちょっと待って」ハーマイオニーが素早すばやく割って入った。「この会合かいごうの目的は、そういうことじゃないはずよ――」
「かまわないよ、ハーマイオニー」ハリーが言った。
なぜこんなに多くの生徒が集まったのか、ハリーはいま気がついた。ハーマイオニーはこういう成なり行ゆきを予想すべきだったと、ハリーは思った。このうちの何人かは――もしかしたらほとんど全員が――ハリーから直じかに話が聞けると期待してやって来たのだ。
「僕がなぜ『例のあの人』が戻ってきたと言うのかって」ハリーはザカリアスを正面切って見つめながら言った。「僕はやつを見たんだ。だけど、先学期ダンブルドアが、何が起きたのかを全校生に話した。だから、君がそのときダンブルドアを信じなかったのなら、僕のことも信じないだろう。僕は誰かを信用させるために、午後一いっ杯ぱいをむだにするつもりはない」
ハリーが話す間、全員が息を殺しているようだった。ハリーは、バーテンまでも聞き耳を立てているような気がした。バーテンはあの汚いボロ布きれで、同じコップを拭ふき続け、汚れをますますひどくしていた。