「すげえぞ、ハリー」リーが心底しんそこ感心したように言った。「全然知らなかった」
「お袋ふくろがロンに、吹ふい聴ちょうするなって言ったのさ」フレッドがハリーに向かってにやりとした。
「ただでさえ君は注意を引きすぎるからって、お袋が言ったんだ」
「それ、間違っちゃいないよ」ハリーが口ごもり、何人かが笑った。
ぽつんと座っていたベールの魔女が、座ったままほんの少し体をもぞもぞさせた。
「それに、君はダンブルドアの校長室にある剣つるぎでバジリスクを殺したのかい」テリー・ブートが聞いた。「先学期あの部屋に行ったとき、壁かべの肖しょう像ぞう画がの一つが僕にそう言ったんだ……」
「あ――まあ、そうだ、うん」ハリーが言った。
ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーがヒューッと口笛くちぶえを吹いた。クリービー兄弟は尊敬そんけいで打ちのめされたように目を見み交かわし、ラベンダー・ブラウンは「うわぁ」と小さく叫さけんだ。ハリーは少し首筋くびすじが熱くなるのを感じ、絶対にチョウを見ないように目を逸そらした。
「それに、一年のとき」ネビルがみんなに向かって言った。「ハリーは『言者の石』を救ったよ――」
「『賢者の』」ハーマイオニーが急いでヒソヒソ言った。
「そう、それ――『例のあの人』からだよ」ネビルが言い終えた。
ハンナ・アボットの両りょう眼めが、ガリオン金貨ぐらいにまん丸になった。
「それに、まだあるわ」チョウが言ったハリーの目がバチンとチョウに引きつけられた。チョウがハリーを見て微笑ほほえんでいた。ハリーの胃袋がまたでんぐり返った。「先学期、三校対たい抗こう試じ合あいで、ハリーがどんなにいろんな課題かだいをやり遂とげたか――ドラゴンや水中人、大おお蜘ぐ蛛もなんかをいろいろ切り抜けて……」
テーブルの周りで、そうだそうだとみんなが感心してざわめいた。ハリーは内臓ないぞうがじたばたしていた。あまり得意げな顔に見えないように取とり繕つくろうのがひと苦労だった。チョウが褒ほめてくれたことで、みんなに絶対に言おうと心に決めていたことが、ずっと言い出しにくくなってしまった。