「聞いてくれ」ハリーが言うと、みんなたちまち静かになった。「僕……僕、何も謙遜けんそんするとか、そういうわけじゃないんだけど……僕はずいぶん助けてもらって、そういういろんなことをしたんだ……」
「ドラゴンのときは違う。助けはなかった」マイケル・コーナーがすぐに言った。「あれはほんとに、かっこいい飛行だった……」
「うん、まあね――」ハリーは、ここで否定ひていするのはかえって野や暮ぼだと思った。
「それに、夏休みに『吸魂鬼ディメンター』を撃退げきたいしたときも、誰もあなたを助けやしなかった」スーザン・ボーンズが言った。
「ああ」ハリーが言った。「そりゃ、まあね、助けなしでやったことも少しはあるさ。でも、僕が言いたいのは――」
「君、のらりくらり言ってそういう技を僕たちに見せてくれないつもりかい」ザカリアス・スミスが言った。
「いいこと教えてやろう」ハリーが何も言わないうちに、ロンが大声で言った。「減へらず口ぐち叩たたくな」
「のらりくらり」と言われてカチンと来たのかもしれない。とにかく、ロンは、ぶちのめしてやりたいとばかりザカリアスを睨にらみつけていた。ザカリアスが赤くなった。
「だって、僕たちはポッターに教えてもらうために集まったんだ。なのに、ポッターは、本当はそんなこと何にもできないって言ってる」
「そんなこと言ってやしない」フレッドが唸うなった。
「耳の穴、かっぽじってやろうか」ジョージがゾンコの袋から、なにやら長くて危険そうな金属の道具を取り出しながら言った。
「耳以外のどこでもいいぜ。こいつは別に、どこに突つき刺さしたってかまわないんだ」フレッドが言った。
「さあ、じゃあ」ハーマイオニーが慌あわてて口を挟はさんだ。「先に進めましょう……要するに、ハリーから習いたいということで、みんな賛成したのね」
ガヤガヤと同意を示す声が上がった。ザカリアスは腕組みをしたまま、何も言わなかった。ジョージが持っている道具に注意するのに忙いそがしかったせいかもしれない。