「さあ、こうしちゃいられない」フレッドが威勢いせいよくそう言うと立ち上がった。「ジョージやリーと一いっ緒しょに、ちょっとわけありの買い物をしないといけないんでね。またあとでな」
他の全員も三三さんさん五ご五ご立ち去った。チョウは出て行く前に、カバンの留とめ金がねを掛かけるのにやたらと手て間ま取どっていた。長い黒くろ髪かみが顔を覆おおうようにかかり、ゆらゆら揺ゆれた。しかし、チョウの友達が腕組みをしてそばに立ち、舌を鳴らしたので、チョウは友達と一緒に出て行くしかなかった。友達に急せかされてドアを出るとき、チョウは振り返ってハリーに手を振った。
「まあ、なかなかうまくいったわね」
数分後、ハリー、ロンと一緒に「ホッグズ・ヘッド」を出て、眩まぶしい陽ひの光の中に戻ったとき、ハーマイオニーが満足げに言った。ハリーとロンは、まだバタービールの瓶びんを手にしていた。
「あのザカリアスの野郎、癪しゃくなやつだ」遠くに小さく姿が見えるザカリアス・スミスの背中を睨にらみつけながら、ロンが言った。
「私もあの人はあんまり好きじゃない」ハーマイオニーが言った。「だけど、あの人、私がハッフルパフのテーブルでアーニーとハンナに話をしているのをたまたまそばで聞いていて、とっても来たそうにしたの。だから、しょうがないでしょ だけど、正直、人数が多いに越したことはないわ――たとえば、マイケル・コーナーとか、その友達なんかは、マイケルがジニーとつき合っていなかったら来なかったでしょうしね――」
ロンはバタービールの最後の一口を飲み干ほすところだったが、咽むせて、ローブの胸にビールをブーッと吹いた。
「あいつが、なんだって」ロンはカンカンになって喚わめき散らした。両耳がまるでカールした生なまの牛肉のようだった。「ジニーがつき合ってるって――妹がデートしてるって――なんだって マイケル・コーナーと」
「あら、だからマイケルも友達と一緒に来たのよ。きっと――まあ、あの人たちが防ぼう衛えい術じゅつを学びたがっているのももちろんだけど、でもジニーがマイケルに事じ情じょうを話さなかったら――」
「いつからなんだ――ジニーはいつから――」
「クリスマス・ダンスパーティで出会って、先学期の終りごろにつき合いはじめたわ」ハーマイオニーは落ち着きはらって言った。三人はハイストリート通りに出ていた。ハーマイオニーは「スクリベンシャフト羽は根ねペン専せん門もん店てん」の前で立ち止まった。ショーウィンドウに、雉きじ羽根のペンがスマートに並べられていた。「んー……私、新しい羽根ペンが必要かも」
ハーマイオニーが店に入り、ハリーとロンもあとに続いた。