ハリーとロンは心配そうな顔の二年生たちの頭越しに告示こくじを読んだ。
「これ、ゴブストーン・クラブも閉鎖へいさってことなのかな」二年生の一人が友達に問いかけた。
「君たちのゴブストーンは大だい丈じょう夫ぶだと思うけど」ロンが暗い声で言うと、二年生がびっくりして飛び上がった。「僕たちのほうは、そうそうラッキーってわけにはいかないよな」二年生たちが慌あわてて立ち去ったあと、ロンがハリーに問いかけた。
ハリーはもう一度掲示けいじを読み返していた。土曜日以来のはち切れるような幸福感が消えてしまった。怒りで体中がドクンドクンと脈みゃく打っていた。
「偶然ぐうぜんなんかじゃない」ハリーが拳こぶしを握にぎり締しめながら言った。「あいつは知ってる」
「それはないよ」ロンがすぐさま言った。
「あのパブで聞いていた人間がいた。それに、当然って言えば当然だけど、あそこに集まった生徒の中で、いったい何人信用できるかわかったもんじゃない……誰だってアンブリッジに垂たれ込こめる……」
それなのに、僕は、みんなが僕を信用したなんて思っていた。みんなが僕を賞しょう賛さんしているなんて思っていたんだ……。
「ザカリアス・スミスだ」ロンが間髪かんはつを入れず叫さけび、拳こぶしで片方かたほうの手のひらにパンチを叩たたき込んだ。「いや――あのマイケル・コーナーのやつも、どうも目つきが怪あやしいと思ったんだ――」
「ハーマイオニーはもうこれを見たかな」ハリーは振り返って女じょ子し寮りょうのドアのほうを見た。
「知らせにいこう」ロンが跳はねるように飛び出してドアを開け、女子寮への螺ら旋せん階かい段だんを上りはじめた。
ロンが六段目に上ったときだった。大声で泣き叫ぶような、クラクションのような音がしたかと思うと、階段が溶とけて一本に繋つながり、ジェットコースターのような長いつるつるの石の滑すべり台になった。ロンは両腕を風かざ車ぐるまのように必死でぶん回し走り続けようとしたが、それもほんのわずかの間で、結局仰向あおむけに倒れ、できたての滑り台を滑り落ちて、仰向けのままハリーの足元で止まった。