四年生の女子生徒が二人、歓声かんせいを上げて石の滑すべり台を滑り下りてきた。
「おぉぉや、上に行こうとしたのはだーれ」ポンと跳とんで立ち上がり、ハリーとロンをじろじろ見ながら、二人がうれしそうにクスクス笑った。
「僕さ」ロンはまだ髪かみがくしゃくしゃだった。「こんなことが起こるなんて、僕知らなかったよ。不公平だ」ロンがハリーを見ながら言った。女子生徒は、さかんにクスクス笑いをしながら肖しょう像ぞう画がの穴に向かった。「ハーマイオニーは僕たちの寮に来てもいいのに、なんで僕たちはだめなんだ――」
「ああ、それは古臭ふるくさい規則きそくなのよ」ハーマイオニーが二人の前にある敷物しきものの上にきれいに滑り下り、立ち上がろうとしているところだった。「でも、『ホグワーツの歴史れきし』に、創そう始し者しゃは男の子が女の子より信用できないと考えたって、そう書いてあるわ。それはそうと、どうして入ろうとしたの」
「君に会うためさ――これを見ろ」ロンがハーマイオニーを掲けい示じ板ばんのところへ引っ張っていった。
ハーマイオニーの目が、素早すばやく告示こくじの端から端へと滑った。表情が石のように硬かたくなった。
「誰かがあいつにべらべらしゃべったに違いない」ロンが怒った。
「それはありえないわ」ハーマイオニーが低い声で言った。
「君は甘い」ロンが言った。「君自身が名誉めいよを重んじ、信用できる人間だからといって――」
「ううん、誰もできないっていうのは、私が、みんなの署名しょめいした羊よう皮ひ紙しに呪のろいをかけたからよ」ハーマイオニーが厳おごそかに言った。「誰かがアンブリッジに告げ口したら、いいこと 誰がそうしたか確実にわかるの。その誰かさんは、とっても後悔こうかいするわよ」
「そいつらはどうなるんだ」ロンが身を乗り出した。
「そうね、こう言えばいいかな」ハーマイオニーが言った。「エロイーズ・ミジョンのにきびでさえ、ほんのかわいいそばかすに見えてしまう。さあ、朝食に行きましょう。ほかのみんなはどう思うか聞きましょう……全部の寮にこの掲示が貼はられたのかしら」