大広間に入ったとたん、アンブリッジの掲示がグリフィンドールだけに貼られたのではないことがはっきりした。それぞれのテーブルをみんな忙いそがしく往いき来きし、掲示のことを相談し合っていて、おしゃべりが異常に緊きん張ちょうし、大広間の動きはいつもより激はげしかった。ハリー、ロン、ハーマイオニーが席に着くや否いなや、ネビル、ディーン、フレッド、ジョージ、ジニーが待ってましたとばかりにやって来た。
「読んだ」
「あいつが知ってると思うか」
「どうする」
みんながハリーを見ていた。ハリーはあたりを見回し、近くに誰も先生がいないことを確かめた。
「とにかく、やるさ。もちろんだ」ハリーは静かに言った。
「そうくると思った」ジョージがにっこりしてハリーの腕をポンと叩たたいた。
「監かん督とく生せいさんたちもかい」フレッドがロンとハーマイオニーを冷ひやかすように見た。
「もちろんよ」ハーマイオニーが落ち着きはらって言った。
「アーニーとハンナ・アボットが来たぞ」ロンが振り返りながら言った。「さあ、レイブンクローのやつらとスミス……誰も痘痕あばたっぽくないなあ」
ハーマイオニーがはっとしたような顔をした。
「痘痕はどうでもいいわ。あの人たち、おバカさんね。いまここに来たらだめじゃない。本当に怪あやしまれちゃうわ――座ってよ」
ハーマイオニーがアーニーとハンナに必死で身み振ぶり手て振ぶりし、ハッフルパフのテーブルに戻るようにと口の形だけで伝えた。
「あとで は――な――し――は――あと」
「私、マイケルに言ってくる」ジニーが焦じれったそうにベンチをくるりと跨またいだ。「まったくバカなんだから……」
ジニーは、レイブンクローのテーブルに急いだ。ハリーはジニーを目で追った。チョウがそう遠くないところに座っていて、「ホッグズ・ヘッド」に連れてきた巻き毛の友達に話しかけている。アンブリッジの告示こくじにチョウが恐れをなして、もう会合かいごうには来ないだろうか
告示の本ほん格かく的てきな反はん響きょうは、大広間を出て「魔ま法ほう史し」の授業に向かうときにやって来た。