「ハリー ロン」
アンジェリーナだった。完全に取り乱して、二人のほうに大急ぎでやって来る。
「大だい丈じょう夫ぶだよ」アンジェリーナがハリーの声の届くところまで来るのを待って、ハリーが静かに言った。「それでも僕たちやるから――」
「これにクィディッチも含まれてることを知ってたか」アンジェリーナがハリーの言葉を遮さえぎって言った。「グリフィンドール・チームを再さい編成へんせいする許可を申請しんせいしないといけない」
「えーっ」ハリーが声を上げた。
「そりゃないぜ」ロンが愕然がくぜんとした。
「掲示けいじを読んだだろ チームも含まれてる だから、いいかい、ハリー……もう一回だけ言うよ……お願い、お願いだから、アンブリッジに二度と癇かん癪しゃくを起こさないで。じゃないと、あいつ、もう私たちにプレイさせないかもしれない」
「わかった、わかったよ」アンジェリーナがほとんど泣きそうなのを見て、ハリーが言った。
「心配しないで。行ぎょう儀ぎよくするから……」
「アンブリッジ、きっと『魔ま法ほう史し』にいるぜ……」ビンズ先生の授業に向かいながら、ロンが暗い声で言った。「まだビンズの査察ささつをしてないしな……絶対あそこに来てるぜ……」
しかし、ロンの勘かんははずれた。教室に入ると、そこにはビンズ先生しかいなかった。いつものように椅子から二、三センチ上に浮かんで、巨人の戦争に関する死にそうに単調な授業を続ける準備をしていた。ハリーは講義こうぎを聞こうともしなかった。ハーマイオニーがしょっちゅう睨にらんだり小こ突づいたりするのを無む視しして羊よう皮ひ紙しに落書きしていたが、ことさらに痛い一発を脇腹わきばらに突つっ込こまれ、怒って顔を上げた。
「なんだよ」
ハーマイオニーが窓を指差し、ハリーが目をやった。ヘドウィグが窓から張り出した狭せまい棚たなに止まり、分厚ぶあつい窓ガラスを通してじっとハリーを見ていた。脚あしに手紙が結んである。ハリーはわけがわからなかった。朝食は終ったばかりだ。どうしていつものように、そのときに手紙を配達はいたつしなかったんだろう 他のクラスメートも大勢、ヘドウィグを指差していた。
「ああ、私、あのふくろう大好き。とってもきれいよね」
ラベンダーがため息混じりにパーバティに言うのが聞こえた。