金曜日、ハーマイオニーは「古代ルーン語」の試験だったが、ハリーとロンは一日休みだった。週末に時間がたっぷりあるので勉強はひと休みと、二人は決めた。開あけ放はなした窓のそばで伸びをしたり欠伸あくびしたりしながら、二人はチェスに興きょうじた。窓から暖かな初夏の風が流れ込んできた。森の端はたで授業をしているハグリッドの姿が遠くに見えた。ハリーは、どんな生き物を観察かんさつしているのだろうと想像した――一角獣ユニコーンに違いない。男の子が少し後ろに下がっているようだから。――そのとき、肖しょう像ぞう画がの入口が開いて、ハーマイオニーがよじ登ってきた。ひどく機嫌きげんが悪そうだ。
「ルーン語はどうだった」ロンがウーンと伸びをしながら、欠伸交まじりで聞いた。
「一つ訳やくし間違えたわ」ハーマイオニーが腹立たしげに言った。「エーフワズは協きょう同どうっていう意味で防ぼう衛えいじゃないのに。私、アイフワズと勘違かんちがいしたの」
「ああ、そう」ロンは面めん倒どう臭くさそうに言った。「たった一ヵ所の間違いだろ それなら、まだ君は――」
「そんなこと言わないで」ハーマイオニーが怒ったように言った。「たった一つの間違いが合格ごうかく不合格の分かれ目になるかもしれないのよ。それに、誰かがアンブリッジの部屋にまたニフラーを入れたわ。あの新しいドアからどうやって入れたのかしらね。とにかく、私、いまそこを通ってきたら、アンブリッジがものすごい剣幕けんまくで叫さけんでた――どうやら、ニフラーがアンブリッジの足をパックリ食いちぎろうとしたみたい――」
「いいじゃん」ハリーとロンが同時に言った。
「よくないの」ハーマイオニーが熱くなった。「アンブリッジはハグリッドがやったと思うわ。憶おぼえてる ハグリッドがクビになってほしくないでしょ」
「ハグリッドはいま授業中。ハグリッドのせいにはできないよ」ハリーが窓の外を顎あごでしゃくった。
「まあ、ハリーったら、ときどきとってもお人好ひとよしね。アンブリッジが証しょう拠この挙あがるのを待つとでも思うの」そう言うなり、ハーマイオニーはカンカンに怒ったままでいることに決めたらしく、さっさと女じょ子し寮りょうのほうに歩いて行き、ドアをバタンと閉めた。
「愛らしくてやさしい性格の女の子だよな」
クイーンを前進させてハリーのナイトを叩たたきのめしながら、ロンが小声で言った。
ハーマイオニーの険悪けんあくムードはほとんど週末中続いたが、土、日の大部分を月曜の「魔ま法ほう薬やく学がく」の試験準備に追われていたハリーとロンにとって、無む視しするのはたやすかった。ハリーが一番受けたくない試験――それに、この試験が「闇やみ祓ばらい」の野望やぼうから転落するきっかけになることは間違いないとハリーは思った。案あんの定じょう、筆ひっ記き試し験けんは難しかった。ただ、ポリジュース薬の問題は満点が取れたのではないかと思った。二年生のとき、禁を破って飲んだので、その効果こうかは正確に記き述じゅつできた。
“哦,”罗恩懒洋洋地说,“就出了这么一个错误,对吗,你还有—— ”