「シリウスが神経しんけいが参まいっちゃって、ちょっと気分転換てんかんしたくなったかも」ロンが心配そうに言った。「ずいぶん前から、あそこを出たくてしょうがなかったからな――」
「でも、なぜなの」ハーマイオニーが言い張った。「ヴォルデモートが武器だか何だかを取らせるのに、いったいなぜシリウスを使いたいわけ」
「知るもんか。理由は山ほどあるだろ」ハリーがハーマイオニーに向かって怒鳴った。「たぶん、シリウスの一人や二人、痛めつけたって、ヴォルデモートは何とも感じないんだろ――」
「あのさあ、いま思いついたんだけど」ロンが声をひそめた。「シリウスの弟が『死し喰くい人びと』だったよね たぶんその弟がシリウスに、どうやって武器を手に入れるかの秘ひ密みつを教えたんだ」
「そうだ――だからダンブルドアは、あんなにシリウスを閉じ込めておきたがったんだ」
ハリーが言った。
「ねえ、悪いけど」ハーマイオニーの声が高くなった。「二人とも辻褄つじつまが合ってないわ。それに、言ってることに何の証しょう拠こもないわ。ヴォルデモートとシリウスがそこにいるかどうかさえ証拠がないし――」
「ハーマイオニー、ハリーは二人を見たんだ」ロンが急にハーマイオニーに詰つめ寄よった。
「いいわ」ハーマイオニーは気け圧おされながらもきっぱりと言った。
「これだけは言わせて――」
「なんだい」
「ハリー……あなたを批判ひはんするつもりじゃないのよ でも、あなたって……何て言うか……つまり……ちょっとそんなところがあるんじゃないかって――その――人助け癖へきって言うかな」
ハリーはハーマイオニーを睨にらみつけた。
「それ、どういう意味なんだ 『人助け癖』って」
「あの……あなたって……」ハーマイオニーはますます不安そうな顔をした。「つまり……たとえば去年も……湖で……三校対たい抗こう試じ合あいのとき……すべきじゃなかったのに……つまり、あのデラクールの妹を助ける必要がなかったのに……あなた少し……やりすぎて……」
ちくちくするような熱い怒りがハリーの体を駆かけ巡めぐった。こんなときに、あの失敗を思い出させるなんて、どういうつもりだ
「もちろん、あなたがそうしたのは、本当に偉かったわ」ハリーの表情を見て、すくみ上がり、ハーマイオニーが慌あわてて言った。「みんなが、すばらしいことだって思ったわ――」
「それは変だな」ハリーは声が震ふるえた。「だって、ロンが何て言ったかはっきり憶おぼえてるけど、僕が『英雄気取りで』時間をむだにしたって……。こんどもそうだって言いたいのか 僕がまた英雄気取りになってると思うのか」
「違うわ。違う、違う」ハーマイオニーはひどく驚おどろいた顔をした。「そんなことを言ってるんじゃないわ」
「じゃ、言いたいことを全部言えよ。僕たち、ただ時間をむだにしてるじゃないか」
ハリーが怒ど鳴なった。
「私が言いたいのは――ハリー、ヴォルデモートはあなたのことを知っているわ。ジニーを秘ひ密みつの部屋に連れて行ったのは、あなたを誘さそい出すためだった。『あの人』はそういう手を使うわ。『あの人』は知ってるのよ、あなたが――シリウスを救いに行くような人間だって 『あの人』がただ、あなたを神しん秘ぴ部ぶに誘おびき寄せようとしてるんだったら――」
“但是为什么,”赫敏坚持说,“伏地魔到底为什么想利用小天狼星拿到那件武器或者是别的什么东西?”
“我不知道,可能有许多理由!”哈利对她大喊,“也许是因为伏地魔不在乎小天狼星的死活—— ”
“你知道吗,我刚刚想到,”罗恩压低嗓门说,“小天狼星的堂姐是食死徒,对吗?也许他把该怎样拿到武器的秘密告诉了小天狼星!”
“是啊—— 所以邓布利多很想把小天狼星一直关在屋子里!”哈利说。
“瞧,不好意思,”赫敏喊道,“但是你们俩说得都没道理,我们也没有证据证明这些事,甚至不能证明伏地魔和小天狼星是不是在那个地方—— '‘
”赫敏,哈利看到他们了!“罗恩一边朝她转过身一边说。
一阵灼热、刺痛的怒火席卷了哈利全身;赫敏怎么能在这种时候提起他这个愚蠢的错误呢?
“我的意思是,你真的是棒极了,”赫敏赶忙说,显得确实被哈利脸上的表情吓呆了,“大家都觉得这件事干得好极了—— ”
“真奇怪,”哈利咬着牙说,“我明明记得罗恩说我耽误了时间逞英雄……你是这么想的吗?你觉得我又想逞英雄了?”
“不,不,不!”赫敏说,看上去吓环了,“我根本不是这个意思!”
“好吧,那就把你想说的都倒出来吧,因为我们正在这里浪费时间!”哈利喊道。