「オーケー」ハリーはイライラしてルーナに食ってかかった。「まず言っとくけど、自分のことも含ふくめて言ってるつもりなら、『全員』が何かするわけじゃないんだ。第二に、トロールの警備けいびがついていない箒ほうきは、ロンのだけだ。だから――」
「私も箒を持ってるわ」ジニーが言った。
「ああ、でも、おまえは来ないんだ」ロンが怒ったように言った。
「お言葉ですけど、シリウスのことは、私もあなたたちと同じぐらい心配してるのよ」
ジニーが歯を食いしばると、急にフレッドとジョージに驚おどろくほどそっくりな顔になった。
「君はまだ――」ハリーが言いかけたが、ジニーは激はげしく言い返した。
「私、あなたが賢者けんじゃの石のことで『例のあの人』と戦った歳としより三歳も上よ。それに、マルフォイがアンブリッジの部屋で特大の空飛ぶ鼻糞に襲おそわれて足止めになっているのは、私がやったからだわ――」
「それはそうだけど――」
「僕たちディーエイはみんな一いっ緒しょだったよ」ネビルが静かに言った。「何もかも、『例のあの人』と戦うためじゃなかったの 今回のは、現実に何かできる初めてのチャンスなんだ――それとも、全部ただのゲームだったの」
「違うよ――もちろん、違うさ」ハリーは苛立いらだった。
「それなら、僕たちも行かなきゃ」ネビルが当然のように言った。「僕たちも手伝いたい」
「そうよ」ルーナがうれしそうににっこりした。
ハリーはロンと目が合った。ロンもまったく同じことを考えていることがわかった。ハリー自身とロンとハーマイオニーのほかに、シリウス救出のためにディーエイメンバーの中から誰かを選ぶとしたら、ジニー、ネビル、ルーナは選ばなかったろう。
「まあ、どっちにしろ、それはどうでもいいんだ」ハリーは焦じれったそうに言った。「だって、どうやってそこに行くのかまだわからないんだし――」
「それは解決かいけつずみだと思ったけど」ルーナは癪しゃくに障さわる言い方をした。「全員飛ぶのよ」
「あのさあ」ロンが怒りを抑おさえ切れずに言った。「君は箒ほうきなしでも飛べるかもしれないよ。でもほかの僕らは、いつでも羽を生はやせるってわけには――」
「箒のほかにも飛ぶ方法はあるわ」ルーナが落ち着きはらって言った。