ロンとジニーが従じゅう順じゅんに入って行った。ハーマイオニー、ネビル、ルーナはそのあとからぎゅうぎゅう押して入った。ハリーが入る前に、もう一度セストラルをちらりと振り返ると、ゴミ容器の中から腐くさった食べ物のクズを漁あさっていた。ハリーはルーナのあとからボックスに体を押し込んだ。
「受話器に一番近い人、ダイヤルして 」ハリーが言った。
ロンがダイヤルに触ふれようと腕を奇き妙みょうに捻ねじ曲げながら、数字を回した。ダイヤルが元の位置に戻ると、電話ボックスに落ち着きはらった女性の声が響ひびいた。
「魔法省へようこそ。お名前とご用件をおっしゃってください」
「ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー」ハリーは早口で言った。「ジニー・ウィーズリー、ネビル・ロングボトム、ルーナ・ラブグッド……ある人を助けにきました。魔法省が先に助けてくれるなら別ですが」
「ありがとうございます」落ち着いた女性の声が言った。「外がい来らいの方かたはバッジをお取りになり、ローブの胸にお着けください」
六個のバッジが、通常なら釣つり銭せんが出てくるコイン返へん却きゃく口ぐちの受け皿に滑り出てきた。ハーマイオニーが全部すくい取って、ジニーの頭越しに無言でハリーに渡した。ハリーが一番上のバッジを見た。 ハリー・ポッター 救きゅう出しゅつ任にん務む
「魔法省への外来の方は、杖つえを登録とうろくいたしますので、守しゅ衛えい室しつにてセキュリティ・チェックを受けてください。守衛室はアトリウムの一番奥にございます」
「わかった」ハリーが大声を出した。傷きず痕あとがまた疼うずいたのだ。「さあ、早く出発できませんか」
電話ボックスの床がガタガタ揺ゆれたと思うと、ボックスのガラス窓越しに歩道が迫せり上がりはじめた。ゴミ漁あさりをしているセストラルも迫り上がって、姿が見えなくなった。頭上は闇やみに呑のまれ、一行いっこうはガリガリという鈍にぶい軋きしみ音とともに魔法省のある深みへと沈んで行った。
一ひと筋すじの和やわらかい金色こんじきの光が射さし込こみ、一行の足下あしもとを照らした。光はだんだん広がり、体の下から上へと登って行った。ハリーは膝ひざを曲げ、鮨詰すしづめ状じょう態たいの中で可能なかぎり杖つえを構かまえ、アトリウムで誰か待まち伏ぶせしていないかと、ガラス窓越しに窺うかがった。しかし、そこは完全に空っぽのようだった。照しょう明めいは日中に来た前回のときより薄暗うすぐらく、壁沿かべぞいに作りつけられたいくつものマントルピースの下には火の気がなかった。しかし、エレベーターが滑なめらかに停止ていしすると、ハリーは例の金色の記号が、暗いブルーの天井にしなやかにくねり続けているのを見た。
「魔法省です。本夕はご来らい省しょうありがとうございます」女性の声が言った。