ハリーはいま自分の正面にある扉へとまっすぐ進んだ。みんながそのすぐあとに続いた。ハリーは左手で冷たく光る扉の表面に触ふれ、開いたらすぐに攻撃こうげきできるように杖つえを構かまえて扉を押した。
簡単にパッと開いた。
最初の部屋が暗かったせいで、天井から金の鎖くさりでぶら下がっているいくつかのランプが、この細長い長方形の部屋をずっと明るい印象にしていた。しかし、ハリーが夢で見た、キラキラと揺ゆらめく灯あかりはなかった。この場所はがらんとしている。机が数卓すうたくと、部屋の中央に巨大なガラスの水槽すいそうがあるだけだ。全員が泳げそうな大きな水槽は、濃こい緑色の液体えきたいで満たされ、その中に、半はん透とう明めいの白いものがいくつも物憂ものうげに漂ただよっていた。
「これ、なんだい」ロンが囁ささやいた。
「さあ」ハリーが言った。
「魚」ジニーが声をひそめた。
「アクアビリウス・マゴット、水みず蛆うじ虫むしだ」ルーナが興こう奮ふんした。「パパが言ってた。魔法省で繁はん殖しょくしてるって――」
「違うわ」ハーマイオニーが気味悪そうに言いながら、水槽に近づいて横から覗のぞき込んだ。
「脳みそよ」
「脳みそ」
「そう……いったい魔法省は何のために」
ハリーも水槽に近づいた。本当だ。近くで見ると間違いない。不気味に光りながら、脳みそは緑の液体の深みで、まるでヌメヌメしたカリフラワーのように、ゆらゆらと見え隠れしていた。
「出よう」ハリーが言った。「ここじゃない。別のを試ためさなきゃ」
「この部屋にも扉があるよ」ロンが周りの壁かべを指した。ハリーはがっかりした。いったいこの場所はどこまで広いんだ
「夢では、暗い部屋を通って次の部屋に行った」ハリーが言った。「あそこに戻って試ためすべきだと思う」
そこで全員が急いで暗い円形の部屋に戻った。ハリーの目に、こんどは青い蝋燭ろうそくの炎ではなく、脳みそが幽霊ゆうれいのように泳いでいた。
「待って」ルーナが脳みその部屋を出て扉とびらを閉めようとしたとき、ハーマイオニーが鋭するどく言った。
「フラグレート 焼印やきいん」
ハーマイオニーが空中に×印を描えがくと、扉に燃えるように赤い「×クロス」が印された。扉がカチリと閉まるや否いなや、ゴロゴロと大きな音がして、またしても壁かべが急回転しはじめた。しかしこんどは、薄青うすあおい中に大きく赤と金色がぼやけて見えた。再び動かなくなったとき、燃えるような「×」は焼印やきいんされたままで、もう試ためしずみの扉であることを示していた。
「いい考えだよ」ハリーが言った。「オーケー、次はこれだ――」
“这里也有很多门。”罗恩一边说一边指着四周的墙壁。哈利的心一沉,这个地方到底有多大呀。
“在我的梦里,我是穿过那间黑色的屋子就进入了第二间。”他说,“我想我们应该回去,从那里再试。”