美しい、ダイヤの煌きらめくような照しょう明めいが踊おどっていることで、ハリーにはすぐここだとわかった。眩まぶしい光に目が慣れてくると、ハリーはありとあらゆるところで時計が煌めいているのを見た。大小さまざまな時計、床置ゆかおき時計、旅行用の提さげ時計などが、部屋全体に並んだ本棚ほんだなの間に掛かけてあったり、机に置いてあったり、絶え間なく忙いそがしくチクタクと、まるで何千人の小さな足が行進しているような音を立てていた。踊おどるようなダイヤの煌きらめきは、部屋の奥に聳そびえ立つ釣つり鐘がね形がたのクリスタルから出る光だった。
「こっちだ」
正しい方向が見つかったという思いで、ハリーの心臓は激はげしく脈みゃく打うっていた。ハリーは先頭に立ち、何列も並んだ机の間の狭せまい空間を、夢で見たと同じように光の源みなもとに向かって進んだ。ハリーの背丈せたけほどもあるクリスタルの釣鐘は、机の上に置かれ、中にはキラキラした風が渦巻うずまいているようだった。
「まあ、見て」全員がそのそばまで来たとき、ジニーが釣鐘の中心を指差した。
宝石のように眩まばゆい卵たまごが、キラキラする渦うずに漂ただよっていた。釣鐘の中で卵が上昇すると、割れて一羽のハチドリが現れ、釣鐘の一番上まで運ばれていった。しかし、風に煽あおられて落ちていくと、ハチドリの羽は濡ぬれてくしゃくしゃになり、釣鐘の底まで運ばれて再び卵に閉じ込められた。
「立ち止まらないで」ハリーが鋭するどく言った。ジニーが立ち止まって、卵がまた鳥になる様子を見たいという素そ振ぶりを見せたからだ。
「あなただって、あの古ぼけたアーチでずいぶん時間をむだにしたわ」ジニーは不ふ機き嫌げんな声を出したが、ハリーについて釣鐘を通り過ぎ、その裏うらにある唯ゆい一いつの扉とびらへと進んだ。
「これだ」心臓の鼓動こどうがあまりにも激しく早くなり、ハリーは言葉が遮さえぎられてしまうのではないかと思った。
「ここを通るんだ――」
ハリーは振り向いて全員を見回した。みんな杖つえを構かまえ、急に真剣しんけんで不安な表情になった。ハリーは扉に向き直り、押した。扉がパッと開いた。