どこからともなく周り中に黒い人影が現れ、右手も左手もハリーたちの進路しんろを断った。フードの裂さけ目から目をギラつかせ、十数本の光る杖つえ先さきが、まっすぐにハリーたちの心臓を狙ねらっている。ジニーが恐きょう怖ふに息を呑のんだ。
「私に渡すのだ、ポッター」片手かたてを突つき出し、手のひらを見せて、ルシウス・マルフォイの気取った声が繰くり返して言った。
腸はらわたががくんと落ち込み、ハリーは吐はき気を感じた。二倍もの敵に囲まれている。
「私に」マルフォイがもう一度言った。
「シリウスはどこにいるんだ」ハリーが聞いた。
死し喰くい人びとが数人、声を上げて笑った。ハリーの左側の黒い人影の中から、残酷ざんこくな女の声が勝ち誇ほこったように言った。「闇やみの帝てい王おうは、常にご存知ぞんじだ」
「常に」マルフォイが低い声で唱しょう和わした。「さあ、予言を私に渡すのだ。ポッター」
「シリウスがどこにいるか知りたいんだ」
「シリウスがどこにいるか知りたいんだ」左側の女が声色こわいろをまねた。
その女と仲間なかまの死喰い人とが包ほう囲い網もうを狭せばめ、ハリーたちからほんの数十センチのところに迫せまった。その杖先の光でハリーは目が眩くらんだ。
「おまえたちが捕つかまえているんだろう」胸に突き上げてくる恐怖を無む視しして、ハリーが言った。九十七列目に入ったときから、ハリーはこの恐怖と闘たたかってきた。「シリウスはここにいる。僕にはわかっている」
「ちいちゃな赤ん坊ぼが怖こわいよーって起おっきして、夢が本物だって思いまちた」女がぞっとするような赤ちゃん声で言った。脇わきでロンが微かすかに身動きするのを、ハリーは感じた。
「何もするな」ハリーが低い声で言った。「まだだ――」
ハリーの声をまねた女が、嗄しわがれた悲鳴ひめいのような笑い声を上げた。
「聞いたか 聞いたかい 私らと戦うつもりかね。ほかの子に指令しれいを出してるよ」
「ああ、ベラトリックス、君は私ほどにはポッターを知らないのだ」マルフォイが静かに言った。「英雄気取りが大きな弱みでね。闇の帝王はそのことをよくご存知だ。さあ、ポッター、予言を私に渡すのだ」
「シリウスがここにいることはわかっている」ハリーは恐怖で胸を締しめつけられ、まともに息もつけないような気がした。「おまえたちが捕とらえたことを知っているんだ」
さらに何人かの死喰い人が笑った。一番大声で笑ったのはあの女だった。
“给我,波特。”马尔福·卢修斯慢吞吞地重复了一遍,掌心向上伸出手来。哈利的心猛地沉了下去。他们被包围了,而且对方的人数是他们的两倍。“给我。”马尔福又说了一遍。
“小天狼星在哪儿?”哈利问道。几个食死徒笑了起来;在哈利左边几个黑乎乎的身影中,一个刺耳的女人声音得意地说:“黑魔王总是料事如神!”
“我要知道小天狼星在什么地方!”
“我要知道小天狼星在什么地方!”哈利左边的那个女人鹦鹉学舌地说。
“什么也别做。”哈利嘀咕了一声,“现在还不能—— ”
那个学他说话的女人用沙哑刺耳的声音大笑起来。“你们听到了吗?你们听到了吗?他在给别的孩子下命令,好像他打算攻击我们似的!”
“哦,你可不如我了解波特,贝拉特里克斯。”马尔福轻轻地说,“他在英雄主义方面可有一个很大的弱点;黑魔王了解他这一点。现在把预言球给我,波特。”
“我知道小天狼星就在这几。”哈利说,尽管慌乱的情绪使他胸口发紧,让他仿佛感到自己都不能正常呼吸了,“我知道,你们抓了他!”