「現実と夢との違いがわかってもよいころだな、ポッター」マルフォイが言った。「さあ、予言を渡せ。さもないと我々は杖を使うことになるぞ」
「使うなら使え」ハリーは自分の杖を胸の高さに構かまえた。同時に、ロン、ハーマイオニー、ネビル、ジニー、ルーナの五本の杖が、ハリーの両りょう脇わきで上がった。ハリーは胃がぐっと締しめつけられる思いだった。もし本当に、シリウスがここにいないなら、僕は友達を犬死いぬじにさせることになる……。
しかし、死し喰くい人びとは攻撃こうげきしてこなかった。
「予言を渡せ。そうすれば誰も傷きずつかぬ」マルフォイが落ち着きはらって言った。
こんどはハリーが笑う番だった。
「ああ、そうだとも」ハリーが言った。「これを渡せば――予言、とか言ったな そうすればおまえは、僕たちを黙だまって無事に家に帰してくれるって」
ハリーが言い終るか終らないうちに、女の死喰い人が甲高かんだかく唱となえた。
「アクシオ 予――」
ハリーは辛かろうじて応戦おうせんできた。女の呪じゅ文もんが終らないうちに「プロテゴ 護まもれ」と叫さけんだ。ガラス球は指の先まで滑すべったが、ハリーはなんとか球を繋つなぎ止めた。
「おー、やるじゃないの、ちっちゃなベビー・ポッターちゃん」フードの裂さけ目から、女の血走った目が睨にらんだ。「いいでしょう。それなら――」
「言ったはずだ。やめろ」
ルシウス・マルフォイが女に向かって吠ほえた。
「もしもあれを壊こわしたら――」
ハリーは目まぐるしく考えていた。死喰い人はこの埃ほこりっぽいスパンガラスの球をほしがっている。ハリーにはまったく関心かんしんのないものだ。ただ、みんなを生きてここから帰したい。自分の愚おろかさのせいで、友達にとんでもない代だい償しょうを払わせてはならない……。
女が仲間なかまから離はなれ、前に進み出てフードを脱ぬいだ。アズカバンがベラトリックス・レストレンジの顔を虚うつろにし、落ち窪くぼんだ骸骨がいこつのような顔にしてはいたが、それが狂きょう信しん的てきな熱っぽさに輝かがやいていた。
「もう少し説得せっとくが必要なんだね」ベラトリックスの胸が激はげしく上下していた。「いいでしょう――一番小さいのを捕つかまえろ」ベラトリックスが脇わきにいた死喰い人に命令した。「小こ娘むすめを拷問ごうもんするのを、こやつに見物させるのだ。私がやる」
ハリーはみんながジニーの周りを固めるのを感じた。ハリーは横に踏ふみ出し、予言を胸に掲かかげて、ジニーの真ん前に立ちはだかった。
“哎呀,他还挺会玩儿的呢,波特小宝贝。”她说,狂怒的眼睛在兜帽的缝隙中狠狠地瞪着,“很好,那么—— ”
“我告诉过你。不要这样!”马尔福卢修斯朝那个女人大吼,“万一你把它打碎了—— !”