「ハーマイオニー」
ハリーはハーマイオニーのそばに膝ひざをつき、ネビルは杖を前に構えながら急いで机の下から這はい出してきた。死喰い人が出てくるネビルの頭を強く蹴けった――足がネビルの杖を真っ二つにし、ネビルの顔に当たった。ネビルは口と鼻を押さえ、痛みに呻うめき、体を丸めた。ハリーは杖を高く掲かかげ、振り返った。死喰い人は覆面ふくめんをかなぐり捨すて、杖をまっすぐにハリーに向けていた。細長く蒼あお白じろい、歪ゆがんだ顔。「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」で見覚えがある。アントニン・ドロホフ――プルウェット一家を殺害さつがいした魔法使いだ。
ドロホフがにやりと笑った。空あいているほうの手で、ハリーがまだしっかり握にぎっている予言を指し、自分を指し、それからハーマイオニーを指した。しゃべることはできないが、言いたいことははっきり伝わった。予言をよこせ、さもないと、こいつと同じ目に遭あうぞ……。
「僕が渡したとたん、どうせ皆殺しのつもりだろう」ハリーが言った。
パニックで頭がキンキン鳴り、まともに考えられなかった。片手かたてをハーマイオニーの肩に置くと、まだ暖かい。しかしハリーはハーマイオニーの顔をちゃんと見る勇気がなかった。
死なないで、どうか死なせないで。もし死んだら僕のせいだ……。
「ハリー、なにごあっでも」ネビルが机の下から激はげしい声で言った。押さえていた両手を放はなすと、はっきりと鼻が折れ、鼻血が口に顎あごにと流れているのが露あらわになった。「ぞれをわだじじゃダメ」
すると扉とびらの外で大きな音がして、ドロホフが振り返った――赤ん坊頭の死喰い人が戸口に現れた。赤ん坊頭が泣き喚わめき、相変わらず大きな握り拳こぶしをむちゃくちゃに振り回している。ハリーはチャンスを逃のがさなかった。
「ペトリフィカス トタルス 石になれ」
防ふせぐ間も与えず、呪文がドロホフに当たった。ドロホフは先に倒れていた仲間なかまに折り重なって前のめりに倒れた。二人とも棒ぼうのように硬こう直ちょくし、ぴくりとも動かない。
“交出预言球你照样会把我们杀光!”哈利说。
“不干(管)你做什么,哈利,”纳威在桌子底下激动地说,他的双手垂下来一些,一看就知道他的鼻子被踢断了,鲜血正顺着嘴巴和下巴往下淌,“不叫把它贵他(不要把它给他)!”