「さあ」ルーピンが静かにそう言うと、杖つえをネビルの足に向けて唱となえた。
「フィニート 終れ」
呪じゅ文もんが解とけ、ネビルの両足は床に下りて静かになった。ルーピンは蒼あおざめた顔をしていた。
「さあ――みんなを探そう。ネビル、みんなはどこだ」
ルーピンはそう言いながら、アーチに背を向けた。一言一言に痛みを感じているような言い方だった。
「みんなあぞごにいるよ」ネビルが言った。「ロンが脳びぞにおぞわれだげど、だいじょうびだど思う――ハービーニーは気をうじなっでるげど、脈みゃくがあっだ――」
台座だいざの裏側うらがわからバーンと大きな音と叫さけび声が聞こえた。ハリーはキングズリーが苦痛くつうに叫びながら床に倒れるのを見た。ダンブルドアがくるりと振り向くと、ベラトリックス・レストレンジは尻尾しっぽを巻いて逃げ出した。ダンブルドアが呪文を向けたが、ベラトリックスはそれを逸そらせた。もう、石段の中ほどまで上っていた――。
「ハリー――やめろ」ルーピンが叫んだ。しかしすでにハリーは、緩ゆるんでいたルーピンの腕を振り解ほどいていた。
「あいつがシリウスを殺した」ハリーが怒ど鳴なった。「あいつが殺した――僕があいつを殺してやる」
そして、ハリーは飛び出し、石段を素早すばやくよじ登った。背後でハリーを呼ぶ声がしたが、気にしなかった。ベラトリックスのローブの裾すそがひらりと視界しかいから消え、二人は脳みそが泳いでいる部屋に戻っていた……。
ベラトリックスは肩越しに呪のろいの狙ねらいを定めた。水槽すいそうが宙に浮き、傾いた。ハリーは中を満たしていたいやな臭いのする薬液やくえきでずぶ濡ぬれになった。脳みそが滑すべり出し、ハリーに取りつき、色鮮いろあざやかな長い触しょく手しゅを何本も吐はき出しはじめた。
「ウィンガーディアム レビオーサ 浮遊ふゆうせよ」
ハリーが呪文を唱となえると、脳みそはハリーを離はなれ、空中へと飛んで行った。ヌルヌル滑りながら、ハリーは扉とびらへと走った。床で呻うめいているルーナを飛び越し、ジニーを通り越し――ジニーが「ハリー――何事――」と問いかけた――へらへら力なく笑っているロンを、そして、まだ気を失っているハーマイオニーを通り越した。扉をぐいと開けると、黒い円形のホールだ。ベラトリックスがホールの反対側の扉から出て行くのが見えた。その向こうにエレベーターに通じる廊下ろうかがある。
“他们在那边,”纳威回答说,“一个大脑绕住了罗恩,但我想他现在还好,—— 赫敏已经什么也不知道了,但还有脉搏—— ”
“哈利—— 不要!”卢平大喊,但哈利早已挣脱卢平已经变松的手。