「わしは、ヴォルデモートが、存命ぞんめい中の魔法使いの誰たれをも凌しのぐ広範こうはんな魔法の知識を持っていると知っておった。わしがどのように複雑ふくざつで強力な呪じゅ文もんで護まもったとしても、あやつが戻り、完全にその力を取り戻したときには、破られてしまうじゃろうとわかっておった」
「しかし、わしは、ヴォルデモートの弱みも知っておった。そこで、わしは決断したのじゃ。きみを護まもるのは古くからの魔法であろうと。それは、あやつも知っており、軽蔑けいべつしていた魔法じゃ。それ故ゆえあやつは、その魔法を過か小しょう評ひょう価かしてきた。――身をもってその代だい償しょうを払うことになったが。わしが言っておるのは、もちろん、きみの母上がきみを救うために死んだという事実のことじゃ。あやつが予想もしなかった持じ続ぞく的てきな護りを、母上はきみに残していかれた。今日まで、きみの血の中に流れる護りじゃ。それ故わしは、きみの母上の血を信頼しんらいした。母上のただ一人の血縁けつえんである姉御あねごのところへ、きみを届けたのじゃ」
「おばさんは僕を愛していない」ハリーが切り返した。「僕のことなんか、あの人にはどうでも――」
「しかし、おばさんはきみを引き取った」ダンブルドアがハリーを遮さえぎった。「やむなくそうしたのかもしれんし、腹を立て、苦々にがにがしい思いでいやいや引き取ったのかもしれん。しかし引き取ったのじゃ。そうすることで、おばさんは、わしがきみにかけた呪じゅ文もんを確固かっこたるものにした。きみの母上の犠牲ぎせいのおかげで、わしは血の絆きずなを、もっとも強い盾たてとしてきみに与えることができたのじゃ」
「僕まだよく――」
「きみが、母上の血縁の住むところを自分の家と呼べるかぎり、ヴォルデモートはそこできみに手を出すことも、傷きずつけることもできぬ。ヴォルデモートは母上の血を流した。しかしその血はきみの中に、そして母上の姉御の中に生き続けている。母上の血が、きみの避ひ難なん所じょとなった。そこに一年に一度だけ帰る必要があるが、そこを家と呼べるかぎり、そこにいる間、あやつはきみを傷つけることができぬ。きみのおばさんはそれをご存知ぞんじじゃ。家の戸口にきみと一いっ緒しょに残した手紙で、わしが説明しておいた。おばさんは、きみを住まわせたことで、きみがこれまで十五年間生き延のびてきたのであろうと知っておられる」
「待って」ハリーが言った。「ちょっと待ってください」
ハリーはきちんと椅子に座り直し、ダンブルドアを見つめた。
「『吼ほえメール』を送ったのは先生だった。先生がおばさんに『思い出せ』って――あれは先生の声だった――」
「わしは」ダンブルドアが軽く頷うなずきながら言った。「きみを引き取ることで契ちぎった約束を、おばさんに思い出させる必要があると思ったのじゃ。吸魂鬼ディメンターの襲しゅう撃げきで、おばさんが、親代わりとしてきみを置いておくことの危険性に目覚めたかもしれぬと思ったのじゃ」
“但是她收留了你,”邓布利多打断了他,“她可能是不情愿,不高兴,很勉强、抱怨地收留了你,但她毕竟接纳了你,在此过程中,她还保存了我给你所施的咒语。你母亲的牺牲使得血缘的纽带成为我能够给你的最强大的保护屏。”