「さて、今夜のことじゃが」ダンブルドアが続けた。
「どのように事が起こったのか、わしには少しわからぬところがある……きみはわしが学校を出たことを知っていたのかね? いや、なるほど」
ダンブルドアは、自分で自分の質問に答えた。
「ロスメルタが、わしが出かけるところを見て、きみの考えたすばらしいコインを使って、きみに知らせたのじゃ。そうに違いない……」
「そのとおりだ」マルフォイが言った。「だけど、ロスメルタは校長が一杯飲みに出かけただけで、すぐ戻もどってくると言った……」
「なるほど、たしかにわしは飲み物を飲んだのう……そして、戻ってきた……辛かろうじてじゃが」
ダンブルドアが呟つぶやくように言った。
「それできみは、わしを罠わなにかけようとしたわけじゃの?」
「僕たちは、『闇やみの印しるし』を塔とうの上に出して、誰だれが殺されたのかを調べに、校長が急いでここに戻るようにしようと決めたんだ」マルフォイが言った。「そして、うまくいった!」
「ふむ……そうかもしれぬし、そうでないかもしれぬ……」ダンブルドアが言った。
「それでは、殺された者はおらぬと考えてよいのじゃな?」
「誰かが死んだ」マルフォイの声が、一オクターブ高くなったように思われた。
「そっちの誰かだ……誰かわからなかった。暗くて……僕が死体を跨またいだ……僕は校長が戻ったときに、ここで待ち構かまえているはずだった。ただ、『不ふ死し鳥ちょう』のやつらが邪魔じゃまして……」
「さよう。そういう癖くせがあるでのう」ダンブルドアが言った。
下から聞こえる騒ぎや叫さけび声が、一段と大きくなった。こんどは、ダンブルドア、マルフォイ、ハリーのいる屋上に直接つながっている、螺ら旋せん階かい段だんで戦っているような�2>第27章 稲妻に撃たれた塔(10)