むだな物を捨すて、残りを今後必要なものと不要なものとに分けて積み上げ、トランクを完全に空からにするのにまた一時間かかった。学校の制服、クィディッチのユニフォーム、大鍋おおなべ、羊よう皮ひ紙し、羽は根ねペン、それに教科書の大部分は置いていくことにして、部屋の隅すみに積み上げた。ふと、おじとおばはどう処理しょりするのだろう、と思った。恐ろしい犯罪はんざいの証拠しょうこででもあるように、たぶん真夜中に焼いてしまうだろう。マグルの洋服、透明とうめいマント、魔ま法ほう薬やく調ちょう合ごうキット、本を数冊、それにハグリッドに昔もらったアルバムや手紙の束たばと杖つえは、古いリュックサックに詰めた。リュックの前ポケットには、忍しのびの地ち図ずと「・・」の署しょ名めい入りメモが入ったロケットをしまった。ロケットに名誉めいよある特別席を与えたのは、それ自体に価値があるからではなく――普通に考えればまったく価値のないものだ――払った犠牲ぎせいが大きかったからだ。
残るは新聞の山の整理だ。ペットの白ふくろう、ヘドウィグの脇わきの机に積み上げられている。プリベット通りで過ごしたこの夏休みの日数分だけある。
ハリーは床から立ち上がり、伸びをして机に向かった。ヘドウィグは、ハリーが新聞をぱらぱらめくっては一日分ずつゴミの山に放ほうり投げる間、ぴくりとも動かなかった。眠っているのか眠ったふりをしているのか、最近はめったに鳥籠とりかごから出してもらえないので、ハリーに腹を立てている。
新聞の山が残り少なくなると、ハリーはめくる速度を落とした。探している記事は、たしか夏休みになって、プリベット通りに戻って間もなくの日付の新聞に載のっていたはずだ。一面に、ホグワーツ校のマグル学がく教きょう授じゅであるチャリティ・バーベッジが辞職じしょくしたという記事が小さく載っていた記憶きおくがある。やっとその新聞が見つかった。ハリーは十面をめくりながら椅い子すに腰を落ち着かせて、探していた記事をもう一度読み直した。