ダドリーはしがみついている母親からそっと離はなれ、ハリーのほうに歩いてきた。ハリーは魔法でダドリーを脅おどしてやりたいという衝動しょうどうを抑おさえつけなければならなかった。ダドリーは、やおら大きなピンクの手を差し出した。
「驚いたなぁ、ダドリー」ペチュニアおばさんがまたしても泣き出す声を聞きながら、ハリーが言った。「吸きゅう魂こん鬼きに別な人格じんかくを吹き込まれたのか」
「わかんない」ダドリーが小声で言った。「またな、ハリー」
「ああ……」ハリーはダドリーの手を取って握手あくしゅした。「たぶんね。元気でな、ビッグ」
ダドリーはにやっとしかけ、それからドスドスと部屋を出ていった。庭の砂じゃ利り道みちを踏ふみしめるダドリーの重い足音が聞こえ、やがて車のドアがバタンと閉まる音がした。ハンカチに顔を埋うずめていたペチュニアおばさんは、その音であたりを見回した。ハリーと二人きりになるとは、思ってもいなかったようだ。濡ぬれたハンカチをあわててポケットにしまいながら、おばは「じゃ――さよなら」と言って、ハリーの顔も見ずにどんどん戸口まで歩いていった。
「さようなら」ハリーが言った。
ペチュニアが立ち止まって、振ふり返った。一瞬いっしゅんハリーは、おばが自分に何か言いたいのではないかという、不思議な気持に襲おそわれた。なんとも奇妙きみょうな、慄おののくような目でハリーを見ながら、ペチュニアおばさんは言おうか言うまいかと迷っているようだった。しかし、やがてくいっと頭を上げ、ペチュニアは夫と息子を追って、せかせかと部屋を出ていった。
达力轻轻挣脱母亲的搂抱,朝哈利走来。哈利不得不克制住想用魔法威胁他的冲动。达力伸出他那只肥大的、粉红色的手。
“天哪,达力,”哈利的声音盖过佩妮姨妈重新响起的啜泣,“难道摄魂怪给你灌输了另一种性格吗?”
“不知道,”达力低声说,“再见,哈利。”
“好的……”哈利说着握了握达力的手,“也许吧。保重,D哥。”
达力几乎是笑了笑,然后蹒跚地走出客厅。哈利听见他沉重的脚步踏在砾石车道上,然后砰的一声,车门关上了。
听见这声音,一直把脸埋在手帕里的佩妮姨妈抬头张望着。她似乎没有料到自己会和哈利单独待在一起。她匆匆把湿漉漉的手帕塞进口袋,说了声:“好了——再见吧。”然后看也不看哈利,就大步朝门口走去。
“再见。”哈利说。
佩妮姨妈停住脚步,回过头来。一时间,哈利有一种特别奇怪的感觉,好像佩妮姨妈想对他说点什么:她用古怪而胆怯的目光看看他,似乎迟疑着想说话,可随即她猛地把头一摆,冲出房门,追她的丈夫和儿子去了。