叫さけび声が上がり、緑色の閃光せんこうがあたり一面にきらめいた。ハグリッドがウァ∶と叫び、バイクがひっくり返った。ハリーは方角がわからなくなった。頭上に街灯がいとうの明かりが見え、周り中から叫び声が聞こえた。ハリーは必死でサイドカーにしがみついていた。ヘドウィグの鳥籠、ファイアボルト、リュックサックがハリーの膝下ひざしたから滑すべり落ちた。
「ああっ――ヘドウィグ」
箒はキリキリ舞いしながら落ちていったが、ハリーはやっとのことでリュックの紐ひもと鳥籠のてっぺんをつかんだ。そのときバイクがぐるりと元の姿勢に戻った。ほっとしたのも束つかの間ま、またしても緑の閃光が走った。白ふくろうがキーッと鳴き、籠の底にポトリと落ちた。
「そんな――うそだー」
バイクが急速で前進した。ハグリッドが囲みを突き破やぶって、フードを被った死し喰くい人びとを蹴け散ちらすのが見えた。
「ヘドウィグ――ヘドウィグ――」
白ふくろうはまるでぬいぐるみのように、哀あわれにも鳥籠とりかごの底でじっと動かなくなっていた。ハリーは何が起こったのか理解できなかった。同時にほかの組の安否あんぴを思うと恐ろしくなり、ハリーは振ふり返った。すると、ひと塊かたまりの集団が動き回り、緑の閃せん光こうが飛び交かっていた。その中から箒ほうきに乗った二組が抜け出し、遠くに飛び去っていったが、ハリーには誰の組なのかわからなかった――。
「ハグリッド。戻らなきゃ。戻らなきゃ」
エンジンの轟音ごうおんを凌しのぐ大声で、ハリーが叫さけんだ。杖つえを抜き、ヘドウィグの鳥籠を足元に押し込みながら、ヘドウィグの死を認めるものかと思った。
「ハグリッド 戻ってくれ」
「ハリー、俺おれの仕事はおまえさんを無事に届けることだ」
ハグリッドが破われ鐘がねのような声を上げ、アクセルを吹かした。
「止まれ――止まれ」ハリーが叫んだ。しかし、再び振り返ったとき、左の耳を二本の緑の閃光がかすめた。死し喰くい人びとが四人、二人を追って包ほう囲い網もうから離はなれ、ハグリッドの広い背中を標的ひょうてきにしていた。ハグリッドは急きゅう旋せん回かいしたが、死喰い人がバイクに追いついてきた。背後から次々と浴あびせられる呪のろいを、ハリーはサイドカーに身を沈めて避よけた。狭せまい中で身をよじりながら、ハリーは「ステューピファイ 麻ま痺ひせよ」と叫んだ。赤い閃光がハリーの杖から発射はっしゃされ、死喰い人たちはそれをかわして二手ふたてに割れた。
「つかまっちょれ、ハリー、これでも食らえだ」ハグリッドが吼ほえた。
ハリーが目を上げると、ちょうどハグリッドが、燃料計の横の緑のボタンを太い指で叩たたくのが見えた。
排はい気き筒とうから壁かべが現れた。固いレンガの壁だ。その壁が空中に広がっていくのを、ハリーは首を伸ばして見ていた。三人の死喰い人は壁をかわして飛んだが、四人目は悪運つきて姿を消し、バラバラになった箒とともに壁の向こう側から石のように落下していった。死喰い人三人のうちの一人が、救出しようとして速度を落とし、ハグリッドがハンドルにのしかかってスピードを上げると、その死喰い人たちも空中の壁も、背後の暗闇くらやみに吸い込まれていった。
残る二人の死喰い人の杖から放はなたれたいくつもの「死しの呪のろい」が、ハリーの頭上を通り過ぎた。ハグリッドを狙ねらっている。ハリーは「失神しっしんの呪文じゅもん」の連続で応酬おうしゅうした。赤と緑の閃光が空中で衝突しょうとつし、色とりどりの火花が降ふり注いだ。ハリーは、こんなときなのに花火を思い出した。下界のマグルたちには、何が起こっているのかさっぱりわからないだろう――。
到处都是尖叫声和耀眼的绿光。海格大吼一声,摩托车翻了个身。哈利不知道自己身在何处:头顶上是街灯,周围是喊叫声。他死死地抓住挎斗,海德薇的笼子、火弩箭和他的背包从他的膝盖底下滑落——
“不——海德薇!”
飞天扫帚打着旋儿往地面落去,就在摩托车重新扳正过来的一刹那,哈利及时抓住了背包带子和鸟笼顶部。他刚松一口气,又是一道绿光射来,猫头鹰尖叫一声,倒在笼底。
“不——不!”
摩托车隆隆地往前驶去。海格迅疾地冲破包围圈,哈利看见戴兜帽的食死徒们四散逃开。
“海德薇——海德薇——”
然而猫头鹰像个玩具一样,可怜巴巴地躺在鸟笼底部一动不动。哈利无法接受这个现实,心里更加担忧其他人的安危。他扭头望去,看见一大群人在移动,一道道绿光来回发射,两组骑扫帚的人迅速飞向远处,但看不清他们是谁——
“海格,我们得回去,我们得回去!”他喊道,盖过了马达的轰鸣声,一边抽出魔杖,把海德薇的笼子胡乱塞到挎斗底部,不愿意相信它已经死了,“海格,转回去!”
“我的任务是把你安全送到,哈利!”海格大吼一声,加大了油门。
“停下——停下!”哈利喊道,他再次回头的时候,两道绿光从他左耳边嗖嗖掠过:四个食死徒离开包围圈,朝着海格宽阔的后背追了过来。海格突然转向,但是食死徒跟着摩托车紧追不放。后面又有魔咒射来,哈利不得不把身子缩进挎斗里躲避。他扭过身喊道:“昏昏倒地!”一道红光从他自己的魔杖里射出,那四个追来的食死徒急忙躲避,闪出一个空当。
“坐稳了,哈利,这一下准叫他们完蛋!”海格咆哮道,哈利一抬头,正好看见海格用粗粗的手指使劲一摁燃料表旁边的一个绿色按钮。
一道墙,一道结结实实的砖墙,从排气管里喷了出来。哈利扭过脖子,看见砖墙在空中延伸、成形。三个食死徒急忙转身躲开,第四个就没那么幸运了。他消失不见了,然后像大石头一样从砖墙后面摔下去,扫帚摔成了碎片。他的一个同伙放慢脚步去救他,海格弯腰俯在把手上加速前进,那两个食死徒和空中砖墙就都被黑暗吞没了。
剩下两个食死徒的魔杖里继续射出杀戮咒,嗖嗖地从哈利头顶掠过。它们是冲着海格来的。哈利又用昏迷咒去反击。红光、绿光在空中相撞,喷射出五颜六色的火星,哈利不着边际地想到了火焰,想到了下面不知道怎么回事的麻瓜们——