「ハリー、すまねぇ、すまねぇ」ハグリッドがうめいた。「俺おれが自分で直そうとしたんが悪かった――座る場所がなかろう――」
「大丈夫だから飛び続けて」ハリーが叫び返した。暗闇くらやみからまた二人の死喰い人が現れて、だんだん近づいていた。
追っ手の放はなつ呪のろいが、再びオートバイ目がけて矢のように飛んできたが、ハグリッドはジグザグ運転でかわした。ハリーが不安定な座り方をしている状態では、ハグリッドは二度とドラゴン噴射ふんしゃボタンを使う気にはなれないだろうとハリーは思った。追っ手に向かって、ハリーは次から次へと「失神しっしん呪じゅ文もん」を放ったが、辛かろうじて死喰い人との距離きょりを保てただけだった。追っ手を食い止めるためにハリーはまた呪文を発した。いちばん近くにいた死喰い人がそれを避よけようとした拍子ひょうしに、頭からフードが滑すべり落ちた。ハリーが続けて放った「失神呪文」の赤い光が照らし出した顔は、奇妙きみょうに無表情なスタンリー?シャンパイク――スタンだ――。
「エクスペリアームス 武ぶ器きよ去され」ハリーが叫んだ。
「あれだ。あいつがそうだ。あれが本物だ」
もう一人の、まだフードを被かぶったままの死喰い人の叫び声は、エンジンの轟音ごうおんをも乗り越えてハリーに届いた。次の瞬間しゅんかん、追っ手は二人とも退却たいきゃくし、視界しかいから消えた。
「ハリー、何が起こった」ハグリッドの大声が響ひびいた。「連中はどこに消えた」
「わからないよ」
しかしハリーは不安だった。フード姿の死喰い人が、「あれが本物だ」と叫んだ。どうしてわかったのだろう 一見いっけん何もない暗闇くらやみをじっと見つめながら、ハリーは迫せまり来る脅威きょういを感じた。やつらはどこへ
ハリーはなんとか半回転して前向きに座り直し、ハグリッドの上着の背中につかまった。
「ハグリッド、ドラゴン噴射をもう一度やって。早くここから離はなれよう」
「そんじゃ、しっかりつかまれ、ハリー」
またしても耳を劈つんざくギャーッという咆哮ほうこうとともに、灼熱しゃくねつの青白い炎が排はい気き筒とうから噴ふき出した。ハリーは、もともとわずかしかない座席からさらにずり落ちるのを感じた。ハグリッドはハリーの上に仰向あおむけにひっくり返ったが、まだ辛かろうじてハンドルを握にぎっていた――。
「ハリー、やつらを撒まいたと思うぞ。うまくやったぞ」ハグリッドが大声を上げた。
しかしハリーにはそう思えなかった。間違いなく追っ手が来るはずだと左右を見回しながら、ハリーは恐怖がひたひたと押し寄せるのを感じていた……連中はなぜ退却たいきゃくしたのだろう 一人はまだ杖つえを持っていたのに……あいつがそうだ。あれが本物だ……スタンに武装ぶそう解除かいじょ呪じゅ文もんをかけた直後に、死し喰くい人びとは言い当てた。
「もうすぐ着くぞ、ハリー。もうちっとで終わるぞ」ハグリッドが叫さけんだ。
ハリーはバイクが少し降下こうかするのを感じた。しかし地上の明かりは、まだ星のように遠くに見えた。
“哈利,对不起,”海格难过地低声说,“我不应该自己 修补挎斗——现在你没有地方坐了——”
“没关系,尽管飞吧!”哈利大声回答,这时又有两个食 死徒从黑暗中冒了出来,越逼越近。
魔咒又隔着夜空发射过来。海格不停地左转右拐,绕来绕 去,哈利知道海格不敢再使用那个龙火按钮了,因为哈利坐得 很不稳当。哈利朝追逐者们射出一个又一个昏迷咒,却没能把 他们击退。哈利又对他们发出一个阻挡咒语:最近的那个食死 徒闪身躲避,他的兜帽滑了下来,在下一个昏迷咒发出的红光 映照下,哈利看到了斯坦·桑帕克那张古怪的、毫无表情的脸 ——斯坦——
“除你武器!”哈利大喊一声。
“是他,是他,这个是真的!”
戴兜帽的食死徒的喊声甚至盖过摩托车马达的轰鸣,传到 了哈利耳朵里。接着,两个追逐者落到后面,消失不见了。
“哈利,怎么回事?”海格粗声大气地问,“他们哪儿去啦?”
“不知道!”
可是哈利很担心:刚才那个戴兜帽的食死徒喊了声“这个是真的!”他怎么会知道的?哈利凝视着看上去空无一人的黑 夜,感觉到了威胁。他们在哪儿呢?
他费力地在座位上转过身,面朝前方,抓住海格的上衣后襟。
“海格,再来一遍那个龙火,我们赶紧离开这儿!”
“那你可坐稳了,哈利!”
又是一阵震耳欲聋的尖锐的轰鸣,蓝白色的火焰从排气管 里喷射出来:哈利坐在那地方小得可怜的座位上,感到自己向 后滑去,海格仰倒在他身上,勉强抓住把手——
“我想我们甩掉他们了,哈利,我想我们成功了!”海格喊道。
可是哈利不能确信。他左右张望寻找追逐者,知道他们肯定会来,他心里泛起一阵阵的恐惧……他们为什么退回去?其中一个还拿着魔杖呢……是他……这个是真的……他刚想给斯坦施缴械咒,他们就说了这话……
“快到了,哈利,我们就要成功了!”海格大声嚷。
哈利觉得摩托车下降了一些,但地面的灯光看上去仍然像星星一样遥远。