「ごめんなさい、ごめんなさい」
ハーマイオニーが叫さけび、ハリーはロンのかかとから本をもぎ取って元通り縛り上げた。
「いったい全体、そんなにたくさんの本をどうするつもりなんだ」
ロンは片足を引きずりながらベッドに戻った。
「どの本を持っていくか、決めているだけよ」ハーマイオニーが答えた。「分ぶん霊れい箱ばこを探すときにね」
「ああ、そうだった」ロンが額ひたいをピシャリと叩たたいて言った。「移動図書館の車に乗ってヴォルデモートを探し出すってことを、すっかり忘れてたよ」
「ハ、ハ、ハ、ね」ハーマイオニーが「スペルマンのすっきり音節おんせつ」を見下ろしながら言った。「どうかなぁ……ルーン文字を訳さないといけないことがあるかしら ありうるわね……万が一のために、持っていったほうがいいわ」
ハーマイオニーは「すっきり音節」を二つの山の高いほうに置き、それから「ホグワーツの歴史れきし」を取り上げた。
「聞いてくれ」ハリーが言った。ハリーはベッドに座り直していた。ロンとハーマイオニーは、二人そろってあきらめと挑戦の入り交まじった目で、ハリーを見た。
「ダンブルドアの葬儀そうぎのあとで、君たちは僕と一緒いっしょに来たいと言ってくれたね。それはわかっているんだ」ハリーが話しはじめた。
「ほら来た」ロンが目をぎょろぎょろさせながら、ハーマイオニーに言った。
「そう来ると思ってたわよね」
ハーマイオニーがため息をついて、また本に取りかかった。
「あのね、『ホグワーツの歴史』は持っていくわ。もう学校には戻らないけど、やっぱり安心できないのよ、これを持っていないと――」
「聞いてくれよ」ハリーがもう一度言った。
「いいえ、ハリー、あなたのほうこそ聞いて」ハーマイオニーが言った。「私たちはあなたと一緒に行くわ。もう何か月も前に決めたことよ――実は何年も前にね」
「でも――」
「黙だまれよ」ロンがハリーに意見した。
「――君たち、本当に真剣に考え抜いたのか」ハリーは食い下がった。