二人が台所に降りていくと、テーブルにはプレゼントの山が待っていた。ビルとムッシュー・デラクールが朝食をすませるところで、ウィーズリーおばさんはフライパンを片手に、立ったまま二人とおしゃべりしていた。
「ハリー、アーサーから、十七歳の誕生日おめでとう、と伝言よ」
おばさんがハリーににっこり笑いかけた。
「朝早く仕事に出かけなければならなくてね。でもディナーまでには戻るわ。いちばん上にあるのが私たちからのプレゼント」
ハリーは腰掛こしかけて、おばさんの言った四角い包みを取った。開けると中から、ウィーズリー夫妻がロンの十七歳の誕たん生じょう日びに贈ったとそっくりの腕時計が出てきた。金時計で、文も字じ盤ばんには針の代わりに星が回っている。
「魔法使いが成人すると、時計を贈るのが昔からの習わしなの」
ウィーズリーおばさんは料理用レンジの脇わきで、心配そうにハリーを見ていた。
「ロンのと違って新品じゃないんだけど、実は弟のフェービアンのものだったのよ。持ち物を大切に扱う人じゃなかったものだから、裏うらがちょっと凹へこんでいるんだけど、でも――」
あとの言葉は消えてしまった。ハリーが立ち上がっておばさんを抱きしめたからだ。ハリーは抱きしめることで、言葉にならないいろいろな想おもいを伝えたかった。そして、おばさんにはそれがわかったようだった。ハリーが離はなれたとき、おばさんは不器用にハリーの頬ほおを軽く叩たたき、それから杖つえを振ふったが、振り方が少し乱れて、パッケージ半分もの量のベーコンが、フライパンから飛び出して床に落ちた。
「ハリー、お誕生日おめでとう」
ハーマイオニーが台所に駆かけ込んできて、プレゼントの山に自分のを載のせた。
「たいしたものじゃないけど、気に入ってくれるとうれしいわ。あなたは何をあげたの」
ロンは、聞こえないふりをした。
「さあ、それじゃ、ハーマイオニーのを開けろよ」ロンが言った。
ハーマイオニーの贈り物は、新しい「かくれん防ぼう止し器き」だった。ハリーはほかの包みも開けた。ビルとフラーからの魔法のひげ剃そり「ああ、そうそう、これは最高につるつーるに剃りまーすよ」ムッシュー・デラクールが保証ほしょうした。「でも、どう剃りたーいか、あはっきーり言わないといけませーん……さもないと、残したい毛が残らないかもしれませーんよ……」、デラクール一家からはチョコレート、それにフレッドとジョージからの巨大な箱には、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ店の新商品が入っていた。
マダム・デラクール、フラー、ガブリエールが入ってきて台所が狭苦せまくるしくなったので、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人はその場を離れた。
「全部荷造にづくりしてあげる」階段を上りながら、ハーマイオニーがハリーの抱えているプレゼントを引き取って、明るく言った。「もうほとんど終わっているの。あとは、ロン、洗せん濯たくに出ているあなたのパンツが戻ってくるのを待つだけ――」