ロンは半なかば憤ふん慨がいしながらも半分弱気になったように、しばらくの間、その場で体を前後に揺ゆすっていたが、やがて口を開いた。
「それならいい。まあ、それで……うん」
その日は一日中、ジニーは決してハリーと二人きりで会おうとはしなかった。そればかりか、自分の部屋で二人が儀ぎ礼れい的てきな会話以上のものを交かわしたことなど、素そ振ぶりも見せず、おくびにも出さなかった。それでも、ハリーにとってはチャーリーの到着が救いになった。ウィーズリーおばさんがチャーリーを無理やり椅い子すに座らせ、脅おどすように杖つえを向けて、これから髪かみの毛をきちんとしてあげると宣言するのを見ていると、気がまぎれた。
ハリーの誕たん生じょう日びのディナーには、台所は狭せますぎた。チャーリー、ルーピン、トンクス、ハグリッドが来る前から、台所ははち切れそうになっていた。そこで庭にテーブルを一列に並べた。フレッドとジョージが、いくつもの紫むらさき色いろの提灯ちょうちんにすべて「17」の数字をデカデカと書き込み、魔法をかけて招しょう待たい客きゃくの頭上に浮かべた。ウィーズリーおばさんの看護かんごのおかげで、ジョージの傷はきれいになっていた。しかし、双子ふたごが耳のことでさんざん冗談じょうだんを言っても、ハリーは、いまだにジョージの頭の横に空いた黒い穴を平気で見ることはできなかった。
ハーマイオニーが杖の先から出した紫と金のリボンは、ひとりでに木や潅木かんぼくの茂しげみを芸術的に飾かざった。
「素敵すてきだ」ハーマイオニーが最後の派は手でな一振ひとふりで、野生リンゴの木の葉を金色こんじきに染そめたとき、ロンが言った。「こういうことにかけては、君はすごくいい感覚してるよなぁ」
「ありがとう、ロン」
ハーマイオニーはうれしそうだったが、ちょっと面食めんくらったようでもあった。ハリーは横を向いてひとり笑いをした。「確実かくじつに魔女を惹ひきh2>第7章 アルバス・ダンブルドアの遺言(6)