「やあ、ハグリッド、どうしてる」
「手紙を書こう書こうと思っちょったんだが。ノーバートはどうしちょる」
「ノーバート」チャーリーが笑った。「ノルウェー・リッジバックの いまはノーベルタって呼んでる」
「何だって――ノーバートは女の子か」
「ああ、そうだ」チャーリーが言った。
「どうしてわかるの」ハーマイオニーが聞いた。
「ずっと獰どう猛もうだ」チャーリーが答えた。そして後ろを見て声を落とした。「おやじが早く戻ってくるといいが。お袋ふくろがピリピリしてる」
みんながいっせいにウィーズリー夫人を見た。マダム・デラクールと話をしてはいたが、しょっちゅう門を気にして、ちらちら見ている。
「アーサーを待たずに始めたほうがいいでしょう」
それからしばらくして、おばさんが庭全体に呼びかけた。
「あの人はきっと何か手が離はなせないことが――あっ」
みんなも同時にそれを見た。庭を横切って一条いちじょうの光が走り、テーブルの上で輝かがやく銀色のイタチになった。イタチは後あと脚あしで立ち上がり、ウィーズリーおじさんの声で話した。
「魔法大臣が一いっ緒しょに行く」
守護霊パトローナスはふっと消え、そのあとにはフラーの家族が、驚いて消えたあたりを凝視ぎょうししていた。
「私たちはここにいられない」間髪かんはつを入いれず、ルーピンが言った。「ハリー――すまない――別の機会に説明するよ――」
ルーピンはトンクスの手首を握にぎって引っ張り、垣根かきねまで歩いてそこを乗り越え、姿を消した。ウィーズリーおばさんは当惑とうわくした顔だった。
「大臣――でもなぜ―― わからないわ――」
話し合う間はなかった。その直後に、門のところにウィーズリーおじさんが忽こつ然ぜんと現れた。白はく髪はつ交まじりのたてがみのような髪かみで、すぐそれとわかるルーファス・スクリムジョールが同行している。
突然現れた二人は、裏うら庭にわを堂々と横切って、提灯ちょうちんに照らされたテーブルにやって来た。テーブルには、その夜の会食者が、二人の近づくのをじっと見つめながら黙だまって座っていた。スクリムジョールが提灯の光の中に入ったとき、ハリーは、その姿が前回会ったときよりずっと老ふけて見えるのに気づいた。頬ほおはこけ、厳きびしい表情をしている。