「お邪魔じゃましてすまん」足を引きずりながらテーブルの前まで来て、スクリムジョールが言った。「その上、どうやら宴えん席せきへの招かれざる客になったようだ」
大臣の目が一瞬いっしゅん、巨大なスニッチ・ケーキに注がれた。
「誕たん生じょう日びおめでとう」
「ありがとうございます」ハリーが言った。
「君と二人だけで話したい」スクリムジョールが言葉を続けた。「さらに、ロナルド・ウィーズリー君、それとハーマイオニー・グレンジャーさんとも、個別に」
「僕たち」ロンが驚いて聞き返した。「どうして僕たちが」
「どこか、もっと個別に話せる場所に行ってから、説明する」スクリムジョールが言った。
「そういう場所があるかな」大臣がウィーズリー氏に尋たずねた。
「はい、もちろんです」ウィーズリーおじさんは落ち着かない様子だ。「あー、居間です。そこを使ってはいかがですか」
「案内してくれたまえ」スクリムジョールがロンに向かって言った。「アーサー、君が一いっ緒しょに来る必要はない」
ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人が立ち上がったとき、ウィーズリーおじさんが心配そうにおばさんと顔を見合わせるのを、ハリーは見た。三人とも無言で、先に立って家の中に入りながら、ハリーはあとの二人も自分と同じことを考えているだろうと思った。スクリムジョールは、三人がホグワーツ校をやめるという計画をどこからか聞きつけたに違いない。
散らかった台所を通り、「隠かくれ穴あな」の居間に入るまで、スクリムジョールは終始無言だった。庭には夕暮れの柔やわらかな金色の光が満ちていたが、居間はもう暗かった。部屋に入りながら、ハリーは石油ランプに向けて杖つえを振ふった。ランプの明かりが、質素しっそながらも居心地のよい居間を照らした。スクリムジョールは、いつもウィーズリーおじさんが座っているクッションの凹へこんだ肘ひじ掛かけ椅い子�h2>第7章 アルバス・ダンブルドアの遺言(9)