スクリムジョールは、冷たく探るような目でハリーを見た。ハリーは、大臣が初手しょてから対立する価値があるかどうか、判断に迷っている、という印象を受けた。
「いいだろう。では、一緒に」大臣は肩をすくめ、それから咳せき払ばらいして話しはじめた。「私がここに来たのは、君たちも知っているとおり、アルバス・ダンブルドアの遺ゆい言ごんのためだ」
ハリー、ロン、ハーマイオニーは、顔を見合わせた。
「どうやら寝耳ねみみに水みずらしい それでは、ダンブルドアが君たちに遺のこした物があることを知らなかったのか」
「ぼ――僕たち全員に」ロンが言った。「僕とハーマイオニーにも」
「そうだ、君たち全――」
ハリーがその言葉を遮さえぎった。
「ダンブルドアが亡くなったのは、一か月以上も前だ。僕たちへの遺品いひんを渡すのに、どうしてこんなに長くかかったのですか」
「見みえ透すいたことだわ」
スクリムジョールが答えるより早く、ハーマイオニーが言った。
「私たちに遺してくれたものが何であれ、この人たちは調べたかったのよ。あなたにはそんな権利がなかったのに」
ハーマイオニーの声は、微かすかに震ふるえていた。
「私にはきちんとした権利がある」スクリムジョールが素そっ気けなく言った。「『正当な押収おうしゅうに関する省しょう令れい』により、魔ま法ほう省しょうには遺ゆい言ごん書しょに記された物を押収する権利がある」
「それは、闇やみの物ぶっ品ぴんが相続されるのを阻そ止しするために作られた法律だわ」ハーマイオニーが言った。「差し押さえる前に、魔法省は、死者の持ち物が違法いほうであるという確かな証拠しょうこを持っていなければならないはずです ダンブルドアが、呪のろいのかかった物を私たちに遺のこそうとしたとでもおっしゃりたいんですか」
「魔法法関係の職に就つこうと計画してい�