「なんと アーサーが、君は変へん装そうして参加していると教えてくれたが……やれうれしや。光栄じゃ」
喜びに胸を躍おどらせ、そわそわしながら、ドージはハリーにシャンパンを注ついだ。
「君に手紙を書こうと思っておった」ドージが囁ささやいた。「ダンブルドアのことのあとでな……あの衝撃しょうげき……君にとっても、きっとそうだったじゃろう……」
ドージの小さな目が、突然涙であふれそうになった。
「あなたが『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ』にお書きになった追悼文を、読みました」ハリーが言った。「あなたが、ダンブルドア教授きょうじゅをあんなによくご存知ぞんじだとは知りませんでした」
「誰よりもよく知っておった」ドージはナプキンで目を拭ぬぐいながら言った。「もちろん、誰よりも長いつき合いじゃった。アバーフォースを除けばじゃがな――ただ、なぜかアバーフォースは、一度として勘定かんじょうに入れられたことがないのじゃよ」
「『日刊予言者』と言えば……ドージさん、あなたはもしや――」
「ああ、どうかエルファイアスと呼んでおくれ」
「エルファイアス、あなたはもしや、ダンブルドアに関するリータ・スキーターのインタビュー記事をお読みになりましたか」
ドージの顔に怒りで血が上った。
「ああ、読んだとも、ハリー。あの女は、あのハゲタカと呼ぶほうが正確かもしれんが、わしから話を聞き出そうと、それはもうしつこくつきまといおった。わしは恥はずかしいことに、かなり無作法になって、あの女を出しゃばり婆ばばぁ呼ばわりした。『鱒ますババア』とな。その結果は、君も読んだとおりで、わしが正気ではないと中ちゅう傷しょうしおった」
「ええ、そのインタビューで――」ハリーは言葉を続けた。「リータ・スキーターは、ダンブルドア校長が若いとき、闇やみの魔術まじゅつにかかわったと仄ほのめかしました」
「一言も信じるではない」ドージが即座そくざに言った。「ハリー、一言もじゃ 君のアルバス・ダンブルドアの想おもい出を、何物にも汚けがさせるでないぞ」
ドージの、真しん剣けんで苦痛に満ちた顔を見て、ハリーは確信が持てないばかりか、かえってやりきれない思いに駆かられた。単にリータを信じないという選せん択たくだけですむほど簡単なことだと、ドージは本気でそう思っているのだろうか 確信を持ちたい、何もかも知りたいというハリーの気持が、ドージにはわからないのだろうか
ドージはハリーの気持を察さっしたのかも知れない。心配そうな顔で、急いで言葉を続けた。
「ハリー、リータ・スキーターは、何とも恐ろしい――」
ところが甲かん高だかい笑い声が割り込んだ。