「だけどこの人たち、どうして私たちを見つけたのかしら」ハーマイオニーが、放ほう心しん状じょう態たいの死喰い人たちの顔を交互に見ながら疑問を繰くり返した。「どうして私たちの居場所がわかったの」
ハーマイオニーはハリーの顔を見た。
「あなた――まだ『臭におい』をつけたままなんじゃないでしょうね、ハリー」
「そんなはずないよ」ロンが言った。「『臭い』の呪じゅ文もんは十七歳で破やぶれる。魔法界の法律だ。大人には『臭い』をつけることができない」
「あなたの知るかぎりではね」ハーマイオニーが言った。「でも、もし死喰い人が、十七歳に『臭い』をつける方法を見つけ出していたら」
「だけどハリーは、この二十四時間、死喰い人に近寄っちゃいない。誰がハリーに『臭い』をつけ直せたって言うんだ」
ハーマイオニーは答えなかった。ハリーは自分に汚よごれの染しみがついているような気になった。本当に死喰い人は、そのせいで自分たちを見つけたのだろうか
「もし僕に魔法が使えず、君たちも僕の近くでは魔法が使えないということなら、使うと僕たちの居場所がばれてしまうのなら……」ハリーが話しはじめた。
「別れないわ」ハーマイオニーがきっぱりと言った。
「どこか安全な隠れ場所が必要だ」ロンが言った。「そうすれば、よく考える時間ができる」
「グリモールド・プレイス」ハリーが言った。
二人があんぐり口を開けた。
「ハリー、ばかなこと言わないで。あそこにはスネイプが入れるのよ」
「ロンのパパが、あそこにはスネイプ除よけの呪詛じゅそをかけてあるって言ってた――それに、その呪じゅ文もんが効きかないとしても――」ハーマイオニーが反論しかけるのを、ハリーは押し切って話し続けた。「それがどうしたって言うんだ いいかい、僕はスネイプに会えたら、むしろそれが百年目さ」
「でも――」
「ハーマイオニー、ほかにどこがある 残されたチャンスはあそこだよ。スネイプは死し喰くい人びとだとしてもたった一人だ。もし僕にまだ『臭におい』があるのなら、僕らがどこへ行こうと、死喰い人が群れをなして追ってくる」
ハーマイオニーは、できることなら反論したそうな顔をした。しかし、できなかった。ハーマイオニーがカフェの鍵かぎを外はずす間、ロンは「灯ひ消けしライター」をカチッと鳴らして明かりを戻した。それからハリーの三つ数える合図で呪文を解とき、ウェイトレスも二人の死喰い人もまだ眠そうにもぞもぞ動いている間に、ハリー、ロン、ハーマイオニーはその場で回転して再び窮きゅう屈くつな暗くら闇やみの中へと姿を消した。