校長室が消え、スネイプとダンブルドアが、こんどは夕暮れの、誰もいない校庭を並んでそぞろ歩いていた。
「ポッターと、幾いく晩ばんも密ひそかに閉じこもって、何をなさっているのですか」
スネイプが唐とう突とつに聞いた。
ダンブルドアは、疲れた様子だった。
「なぜ聞くのかね セブルス、あの子に、また罰ばっ則そくを与えるつもりではなかろうな そのうち、あの子は、罰則で過ごす時間のほうが長くなることじゃろう」
「あいつは父親の再来だ――」
「外見はそうかも知れぬ。しかし深いところで、あの子の性格は母親のほうに似ておる。わしがハリーとともに時間を過ごすのは、話し合わねばならぬことがあるからじゃ。手遅れにならぬうちに、あの子に伝えなければならぬ情報じょうほうをな」
「情報を」
スネイプが繰り返した。
「あなたはあの子を信用している……私を信用なさらない」
「これは信用の問題ではない。きみも知ってのとおり、わしには時間がない。あの子が為なすべきことを為すために、十分な情報を与えることがきわめて重要なのじゃ」
「ではなぜ、私には、同じ情報をいただけないのですか」
「すべての秘密を一つの籠かごに入れておきとうはない。その籠が、長時間ヴォルデモート卿きょうの腕にぶら下がっているとなれば、なおさらじゃ」
「あなたの命令でやっていることです」
「しかもきみは、非常によくやってくれておる。セブルス、きみが常にどんなに危険な状態に身を置いておるかを、わしが過小に評価しているわけではない。ヴォルデモートに価値ある情報と見えるものを伝え、しかも肝かん心じんなことは隠しておくという芸当は、きみ以外の誰にも託たくせぬ仕事じゃ」
「それなのに、あなたは、『閉へい心しん術じゅつ』もできず、魔法も凡ぼん庸ようで、闇やみの帝てい王おうの心と直接に結びついている子どもに、より多くのことを打ち明けている」