そして次は、スネイプが再び校長室に立っているところへ、フィニアス・ナイジェラスが急いで自分の肖しょう像ぞう画がに戻ってきた。
「校長 連中はディーンの森で野宿しています あの『穢けがれた血ち』が――」
「その言葉は、使うな」
「――あのグレンジャーとかいう女の子が、バッグを開くときに場所の名前を言うのを、聞きました」
「おう、それは重ちょう畳じょう」
校長の椅い子すの背後で、ダンブルドアの肖像画が叫さけんだ。
「さてセブルス、剣つるぎじゃ 必要性と勇気という二つの条件を満たした場合にのみ、剣が手に入るということを忘れぬように――さらに、それを与えたのがきみだということを、ハリーは知ってはならぬ ヴォルデモートがハリーの心を読み、もしもきみがハリーのために動いていると知ったら――」
「心得ています」
スネイプは素っ気なく言った。スネイプがダンブルドアの肖像画に近づき、額がくの横を引っ張ると、肖像画がパッと前に開き、背後の隠れた空くう洞どうが現れた。その中から、スネイプはグリフィンドールの剣を取り出した。
「それで、この剣をポッターに与えることが、なぜそれほど重要なのか、あなたはまだ教えてはくださらないのですね」
ローブの上に旅行用マントをさっと羽は織おりながら、スネイプが言った。
「そのつもりは、ない」
ダンブルドアの肖しょう像ぞう画がが言った。
「ハリーには、剣つるぎをどうすればよいかがわかるはずじゃ。しかしセブルス、気をつけるのじゃ。ジョージ・ウィーズリーの事故のあとじゃから、きみが姿を現せば、あの子たちは快く受け入れてはくれまい――」
スネイプは、扉とびらのところで振り返った。
「ご懸念けねんには及びません、ダンブルドア」
スネイプは冷静に言った。
「私に考えがあります……」
スネイプは校長室を出ていった。
ハリーの体が上昇し、「憂うれいの篩ふるい」から抜け出ていった。そしてその直後、ハリーはまったく同じ部屋の、絨毯じゅうたんの上に横たわっていた。まるでスネイプが、たったいまこの部屋の扉を閉めて、出ていったばかりのように。