「わしは何たる愚おろか者だったことか。ハリーよ、長ながの歳月、わしは何も学んではおらなかった。『死の秘宝』を、一つにまとめるに値しない者であった。そのことを、わしはそれまで何度も思い知らされていたのじゃが、そのときに、決定的に思い知ったのじゃ」
「どうしてですか」ハリーが言った。「当然なのに 先生はまたみんなに会いたかった。それがどうして悪いんですか」
「ハリー、三つの秘宝を一つにすることができる人間は、おそらく百万人に一人であろう。わしは、せいぜい秘宝の中で最も劣り、いちばんつまらぬ物を所有するに値する者であった。ニワトコの杖を所有し、しかもそれを吹聴ふいちょうせず、それで人を殺さぬことに適しておったのじゃ。わしは杖を手なずけ、使いこなすことを許された。なぜなら、わしがそれを手にしたのは勝つためではなく、ほかの人間をその杖から守るためだったからじゃ」
「しかし『マント』は、虚むなしい好奇心から手に入れた。そうじゃから、わしに対しては、真の所有者であるきみに対する働きと同じ効果はなかったことじゃろう。『石いし』にしても、わしの場合、安やすらかに眠っている者を無理やり呼び戻すために使ったことじゃろう。自みずからの犠ぎ牲せいを可能にするために使ったきみの場合とは違う。きみこそ、三つの『秘宝ひほう』を所有するにふさわしい者じゃ」
ダンブルドアは、ハリーの手を軽く叩たたいた。ハリーは顔を上げて老人を見上げ、微笑ほほえんだ。自然に笑いかけていた。ダンブルドアに腹を立て続けることなど、どうしてできよう
「こんなに難しくする必要が、あったのですか」
ダンブルドアは、動どう揺ようしたように微笑んだ。
「ハリー、わしはのう、すまぬが、ミス・グレンジャーがきみの歩みを遅らせてくれることを当てにしておった。きみの善ぜんなる心を、熱い頭が支配してしまいはせぬかと案じたのじゃ。誘ゆう惑わくの品々に関する事実itle">