ハリーは再びうつ伏せになって、地面に倒れていた。「禁きんじられた森もり」の匂においが鼻腔びくうを満たした。頬ほおにひやりと固い土を感じ、倒れたときに横にずれたメガネの蝶ちょう番つがいがこめかみに食い込んでいた。体中が一分の隙すきもなく痛んだ。とりわけ「死しの呪じゅ文もん」に打たれた箇所かしょは、鉄のグローブをはめた拳こぶしを打ち込まれたようだった。ハリーは倒れたままの位置で、左腕を不自然な角度に曲げ口はぽかんと開けたまま、じっとしていた。
ハリーが死んだことを祝う勝利の歓かん声せいが聞こえるだろうと思ったが、あたりにはあわただしい足音と、囁ささやき声や気遣きづかわしげにつぶやく声が満ちているだけだった。
「わが君……わが君……」
ベラトリックスの声だった。まるで恋人に話しかけているようだ。ハリーは、目を開ける気にはなれなかったが、視覚以外の感覚すべてで自分のいまの苦境を探ろうとした。胸に何か固い物が押しつけられているのを感じるので、杖つえはまだローブの下に収まっているらしい。胃袋のあたりに薄うすいクッションが当てられているような感触かんしょくからして、「透とう明めいマント」もそこに、外からは見えないように隠されているはずだ。
「わが君……」
「もうよい」ヴォルデモートの声がした。
また足音が聞こえた。数人の死し喰くい人びとが、同じ場所からいっせいに後退したようだ。何が起きているのか、なぜなのかをどうしても知りたくて、ハリーは薄目うすめを開けた。
ヴォルデモートが立ち上がろうとしている気配だ。死喰い人が数人、あわててヴォルデモートのそばを離れ、空き地に勢ぞろいしている仲間の群れに戻った。ベラトリックスだけが、ヴォルデモートのそばにひざまずいて、その場に残っていた。
ハリーはまた目を閉じ、いま見た光景を考えた。どうやら、ヴォルデモートは倒れていたらしく、死喰い人たちがその周りに集まっていた。「死の呪文」でハリーを撃うったとき、何かが起こったらしい。ヴォルデモートも気を失ったのだろうか どうもそのようだ。すると、二人とも短い時間失しっ神しんして、二人ともいま戻ってきた……。
第36章 百密一疏
他又面朝下躺在地上,禁林的气味扑鼻而来。他感觉到了 面颊下面冰冷、坚硬的土地,感觉到落地时被撞歪的眼镜角扎 着他的太阳穴。身上没有一处不疼,杀戮咒击中的地方就像被 铁拳打伤了一样。他没有动弹,完全保持落地时的姿势,右臂 以很别扭的角度向外拐着,嘴巴张得大大的。
他以为能听见胜利的欢呼,听见他们庆祝他的死,然而空 气里满是匆匆的脚步声、交头接耳的说话声和急切的低语声。
“主人……主人……”
是贝拉特里克斯的声音,她就像是在对一个恋人说话。哈 利不敢睁眼,只让自己的其他感官探究着眼下的处境。他知道 他的魔杖仍塞在长袍底下,因为他感觉到它梗在胸口和地面之 间。肚皮那儿有一种软绵绵的感觉,说明隐形衣还在,藏得好 好的。
“主人……”
“没问题。”伏地魔的声音说。
更多的脚步声:几个人从同一个地点往后退去。哈利急于 看到是怎么回事,便把眼睛微微睁开了一道细缝。
伏地魔似乎正从地上站起来。好几个食死徒匆匆从他面前 逃开,回到空地周围的人群里。只有贝拉特里克斯还留在后面 ,跪倒在伏地魔身边。
哈利又闭上了眼睛,思索着他看到的情景。食死徒刚才聚 集在似乎摔倒的伏地魔身边。伏地魔用杀戮咒击中哈利的同时 一定发生了什么事。难道伏地魔也晕了过去?看来是这样。他 俩都昏迷了很短的时间,现在又都苏醒过来……