「こやつは、城の校庭からこっそり抜け出そうとするところを殺された」
ヴォルデモートが言った。その声に、自分の嘘うそを楽しむ響ひびきがあった。
「自分だけが助かろうとして殺された――」
しかし、ヴォルデモートの声はそこで途と切ぎれた。小走こばしりに駆かけ出す音、叫び声、そしてまたバーンという音が聞こえ、閃光が走って痛みにうめく声がした。ハリーは、ごくわずかに目を開けた。誰かが仲間の群れから飛び出し、ヴォルデモートを攻こう撃げきしたのだ。その誰かが「武装ぶそう解かい除じょ」され、地面に打ちつけられるのが見えた。ヴォルデモートは、奪うばった挑ちょう戦せん者しゃの杖つえを投げ捨てて、笑っていた。
「いったい誰だ」
ヴォルデモートが、蛇へびのようにシューシューと息を吐はきながら言った。
「負け戦いくさを続けようという者が、どんな目に遭あうか、進んで見本を示そうというのは誰だ」
ベラトリックスが、うれしそうな笑い声を上げた。
「わが君、ネビル?ロングボトムです カロー兄妹きょうだいをさんざんてこずらせた小僧こぞうです 例の闇やみ祓ばらい夫婦の息子ですが、憶おぼえておいででしょうか」
「おう、なるほど、憶えている」
ヴォルデモートは、やっと立ち上がったネビルを見下ろした。敵味方の境の戦線に、武器も隠れる場所もなく、ネビルはただ一人立っていた。
「しかし、おまえは純血じゅんけつだ。勇ゆう敢かんな少年よ、そうだな」
ヴォルデモートは、空からっぽの両手で拳こぶしを握りしめて、自分と向き合って立っているネビルに問いかけた。
「だったらどうした」ネビルが大声で言った。
「おまえは、気概きがいと勇気のあるところを見せた。それに、おまえは高貴こうきな血けっ統とうの者だ。貴重な死し喰くい人びとになれる。ネビル?ロングボトム、我々にはおまえのような血筋の者が必要だ」
「地獄じごくの釜かまの火が凍こおったら、仲間になってやる」ネビルが言った。「ダンブルドア軍団」
ネビルの叫さけびに応こたえて、城の仲間から歓かん声せいが湧わき起こった。ヴォルデモートの「黙だまらせ呪じゅ文もん」でも抑おさえられない声のようだ。
「いいだろう」
ヴォルデモートが言った。滑なめらかなその声に、ハリーは、最も強力な呪のろいよりも危険なものを感じた。
「それがおまえの選せん択たくなら、ロングボトムよ、我々はもともとの計画に戻ろう。どういう結果になろうと――」ヴォルデモートが静かに言った。「おまえが決めたことだ」
薄目うすめを開けたままで、ハリーはヴォルデモートが杖つえを振るのを見た。たちまち、破れた城の窓の一つから不ぶ恰かっ好こうな鳥のような物が薄明うすあかりの中に飛び出し、ヴォルデモートの手に落ちた。ヴォルデモートは、その黴かびだらけの物の尖とがった端はしを持って振った。ボロボロで空からっぽの何かが、だらりと垂たれ下がった。組分くみわけ帽子ぼうしだ。
“他是在试图逃出学校的时候被杀死的,”伏地魔说,似 乎因说谎而沾沾自喜,“在试图自己逃命的时候被杀死的—— ”
可是伏地魔没能把话说完,哈利听见了扭打声、喊叫声, 接着又是砰的一声,一道闪光,痛苦的哼哼。他把眼睛睁开一 点点缝隙。原来有人挣脱人群朝伏地魔冲了过来。哈利看见那 个人影被解除了武器,重重地倒在地上,伏地魔哈哈大笑地把 挑战者的魔杖扔到一边。
“这是谁呀?”他用轻轻的、蛇一般的嘶嘶声说:“谁主 动以身试法,让大家看到战败后继续反抗会有什么下场?”
贝拉特里克斯高兴地笑了起来。
“是纳威·隆巴顿,主人!就是那个给卡罗兄妹制造了那 么多麻烦的男孩!那对傲罗夫妇的儿子,记得吗?”
“啊,是了,我想起来了。”伏地魔低头看着纳威说。纳威赤手空拳、毫无掩护地挣扎着爬起来,站在幸存者和食死徒 之间的空地上。“但你是个纯种巫师,对吗,我勇敢的孩子? ”伏地魔问纳威,纳威面对他站着,空空的手掌攥成了拳头。
“是又怎么样?”纳威大声说。
“你表现出了勇气和决心,而且出身高贵。你会成为一个 难能可贵的食死徒。我们需要你这样的人,纳威·隆巴顿。”
“除非地狱结冰我才会跟你走。”纳威说,“邓布利多军 !”他大喊一声,人群里立刻响起激昂的回应,对此伏地魔无 声无息咒似乎也不起作用了
“很好。”伏地魔说,哈利听出他圆滑的声音里包含着比 最残酷的咒语更大的危险。“如果那是你的选择,隆巴顿,我 们只好按原计划办了。让它,”他轻声说,“落到你的头上。 ”
仍然隔着眼睫毛,哈利看见伏地魔挥了一下魔杖。几秒钟 后,从城堡被砸烂的一扇窗户里飞出一个怪鸟般的东西。它从 昏暗的光线中飞来,落在伏地魔手里。伏地魔抓住这个发霉物 件的尖头抖了抖,它便空荡荡、烂糟糟地耷拉下来:是分院帽 。