「ホグワーツ校に、組分けは要いらなくなる」ヴォルデモートが言った。
「四つの寮りょうもなくなる。わが高貴なる祖先であるサラザール?スリザリンの紋章もんしょう、盾たて、そして旗はたがあれば十分だ。そうだろう、ネビル?ロングボトム」
ヴォルデモートが杖をネビルに向けると、ネビルの体が硬直こうちょくした。そして、その頭に、目の下まですっぽり覆おおうように、無理やり帽子が被かぶせられた。城の前で見ていた仲間の一団が動いた。すると死喰い人がいっせいに杖を上げ、ホグワーツの戦士たちを遠ざけた。
「ネビルがいまここで、愚おろかにも俺おれ様さまに逆らい続けるとどうなるかを、見せてくれるわ」
ヴォルデモートはそう言うと、杖つえを軽く振った。組分け帽子ぼうしがメラメラと燃え上がった。
悲鳴が夜明けの空気を引き裂さいた。ネビルは動くこともできず、その場に根が生えたように立ったまま炎に包まれた。ハリーはこれ以上耐たえられなかった。行動しなければ――。
その瞬間しゅんかん、一いち時どきにいろいろなことが起こった。
遠い校庭の境界から、どよめきが聞こえた。そこからは見えない遠くの塀へいを乗り越えて、何百人とも思われる人々が押し寄せ、雄叫おたけびを上げて城に突進してくる音だ。
同時に、グロウプが「ハガー」と叫さけびながら、城の側面からドスンドスンと現れた。その叫びに応こたえて、ヴォルデモート側の巨人たちが吼ほえ、大地を揺ゆるがしながらグロウプ目がけて雄おす象ぞうのように突っ込んでいった。
さらに、蹄ひづめの音が聞こえ、弓弦ゆづるが鳴り、死し喰くい人びとの上に突然矢が降ふってきた。不意を衝つかれた死喰い人は、叫び声を上げて隊たい列れつを乱した。ハリーは、ローブから「透とう明めいマント」を取り出し、パッと被かぶって飛び起きた。ネビルも動いた。
素早い滑なめらかな動きで、ネビルは自分にかけられていた「金かな縛しばりの術じゅつ」を解といた。炎上していた帽子が落ち、ネビルはその奥から何か銀色の物を取り出した。輝かがやくルビーの柄つか――。
銀の剣つるぎを振り下ろす音は、押し寄せる大軍の叫びと、巨人のぶつかり合う音、ケンタウルスの蹄の音に飲まれて聞こえなかったが、剣の動きはすべての人の目を引きつけた。一ひと太た刀ちで、ネビルは大だい蛇じゃの首を切り落とした。首は玄げん関かんホールからあふれ出る明かりにヌメヌメと光り、回りながら空中高く舞った。ヴォルデモートは口を開け、怒りの叫びを上げたが、その声は誰の耳にも届かなかった。そして大蛇の胴体は、ドサリとヴォルデモートの足元に落ちた。
“霍格沃茨学校再也不需要分院。”伏地魔说,“再也不 会分成好几个学院了。我高贵的祖先——萨拉查·斯莱特林的 徽章、盾牌和旗帜,对大家来说就已足够了,是不是呢,纳威 ·隆巴顿?”
他用魔杖指着纳威,纳威立刻变得僵硬起来,一动不动。 然后伏地魔伸把帽子硬戴在纳威头上,帽檐都滑到了纳威的眼 睛下面。城堡前注视着这一幕的人群出现了骚动,食死徒齐刷 刷地举起魔杖,不让霍格沃茨的反抗者靠近。
“纳威将要向大家演示,那些愚蠢地继续反抗我的人会有 什么下场。”伏地魔说着一挥魔杖,分院帽立刻燃起了火焰。
喊叫声划破了拂晓的天空,纳威全身着火,却被钉在原地 ,动弹不得。哈利再也不能忍受了,他必须行动——
接着,许多事情在同时发生。
他们听见远处学校界墙那儿传来了骚动,似乎千百个人浩 浩荡荡地翻过视线外的围墙,高声呐喊着朝城堡冲来。与此同 时,格洛普摇摇摆摆地从城堡一侧拐了过来,嘴里喊道:“海格!”伏地魔的那些巨人吼叫着发出回应。他们像雄象一样冲 向格洛普,震得大地发抖。接着是马蹄声,拉弓声,转眼间, 利箭纷纷射向食死徒中间。他们吃惊地大叫,乱了阵脚。哈利 从长袍里抽出隐形衣披在身上,腾地从地上跃起,这时纳威也 能动了。
纳威身子一挺,一下子挣脱了全身束缚咒,着火的帽子滑 落了。他从里面抽出一个银色的东西,柄上闪闪发光,镶着红 宝石——
在蜂拥而来的人群的吼叫声中,在巨人们的厮杀声中,在 蜂拥的马人的蹄踏声中,银色宝剑砍下的声音没有人能听见, 但似乎吸引了每一双眼睛。一剑下去,纳威就把大蛇的头砍掉 了,蛇头旋转着高高飞入天空,在门厅洒出的灯光中闪亮。伏 地魔张嘴发出愤怒的喊叫,但没有人听得见,接着,轰隆一声 ,蛇身重重地落在他的脚下——