「ああ、言ってやる」ハリーが言った。「トム?リドル、僕はおまえの知らないことを知っている。おまえにはわからない、大切なことをたくさん知っている。おまえがまた大きな過ちを犯す前に、いくつかでも聞きたいか」
ヴォルデモートは答えず、獲物えものを狙ねらうように回り込んでいた。ハリーは、一時的にせよヴォルデモートの注意を引きつけ、その動きを封ふうじることができたと思った。ハリーが本当に究きゅう極きょくの秘密を知っているのではないかという微かすかな可能性に、ヴォルデモートはたじろいでいる……。
「また愛か」
ヴォルデモートが言った。蛇へびのような顔が嘲あざけっている。
「ダンブルドアお気に入りの解決法、愛。それが、いつでも死に打ち克かつとやつは言った。だが、愛は、やつが塔とうから落下して、古い蝋ろう細ざい工くのように壊こわれるのを阻そ止ししなかったではないか 愛、おまえの『穢けがれた血ち』の母親が、ゴキブリのように俺様に踏ふみつぶされるのを防ぎはしなかったぞ、ポッター――それに、こんどこそ、おまえの前に走り出て、俺様の呪いを受け止めるほど、おまえを愛している者はいないようだな。さあ、俺様が攻こう撃げきすれば、こんどは何がおまえの死を防ぐと言うのだ」
「一つだけある」ハリーが言った。
二人はまだ互いに回り込み、相手にだけ集中し、最後の秘密だけが二人を隔へだてていた。
「いま、おまえを救うものが愛でないのなら」ヴォルデモートが言った。「俺おれ様さまにはできない魔法か、さもなくば俺様の武器より強力な武器を、おまえが持っていると信じ込んでいるのか」
「両方とも持っている」ハリーが言った。
蛇へびのような顔に衝撃しょうげきがさっと走るのを、ハリーは見逃さなかった。しかし、それはたちまち消えた。ヴォルデモートは声を上げて笑いはじめた。悲鳴より、もっと恐ろしい声だった。おかしさのかけらもない狂気じみた声が、静まり返った大おお広ひろ間まに響ひびき渡った。
“——我下了决心,这是关键。我做了我母亲做的事情。 你再也伤害不了他们。难道你没有发现你射向他们的魔咒都没 有了约束力?你折磨不了他们,你伤害不了他们。你从来不会 从你的错误里吸取教训,是不是,里德尔?”
“你竟敢——”
“是的,我敢,”哈利说,“我知道的事情你不知道,汤姆·里德尔。我知道许多重要的事情你不知道。想不想听听, 以免你再犯一个大错?”
伏地魔没有说话,默默地转着圈子。哈利知道他被暂时迷 惑住了,不敢轻易动手,担心哈利万一真的知道某个致命的秘 密……
“又是爱?”伏地魔说,那张蛇脸上满是嘲讽,“邓布利 多的法宝,爱,他声称能征服死亡,却没能阻止他从塔楼上坠 落,像个旧蜡像一样摔得支离破碎!爱,没有阻止我把你那泥 巴种母亲像蟑螂一样碾死,波特——这次似乎没有一个人因爱 你而挺身而出,挡住我的咒语。那么,我一出手,你怎么可能 不死呢?”
“只有一点。”哈利说,两人仍然在面对面地转圈、相持 ,中间隔开他们的只有那最后的秘密。
“如果这次救你的不是爱,”伏地魔说,“那你准是相信 你掌握我所没有的魔法,或拥有一件比我的更加厉害的武器? ”
“二者兼而有之。”哈利说。他看见张蛇脸上闪过一丝惊慌,但转瞬即逝。伏地魔大笑起来,这笑声比他的喊叫声更加 可怕:冷酷而疯狂,在寂静的礼堂里回荡。