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第三章 解決を求めて(3)_四つの署名(四签名)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3336
     状況は奇妙なものであった。私たちは用件も知らされないままに、どことも知れず連れて行かれようとしていた。しかし、この招待は全く人をかつぐためのものであるか……それはまず考えられない仮定であったが……そうでなければ、私たちの訪問にからんで重大な結末が控えているにちがいなかった。モースタン嬢の態度は、これまでになく断固として冷静であった。私はアフガニスタンでの冒険の思い出話をして、彼女の気を紛まぎらせようとした。しかし正直のところ、私自身、目下の状況に気をとられ、また行先が気がかりで、そのために話にも身が入らなかった。今になっても彼女にいわれることであるが、私は彼女にある感動的な話……真夜中に、歩兵銃が私のテントをのぞきこんだとき、すかさず私は二連発の虎の子を取って、銃めがけて発砲したなどという話をしたそうである。
     最初私は、進んでいる方向についておよその見当がついていた。しかし、速度や霧のためばかりか、私自身ロンドンにあまり詳しくないために、やがて方角を見失ってしまい、ただたいそう遠くまで来たぐらいのことしかわからなくなった。しかし、シャーロック?ホームズは決して迷うことがなく、馬車が広場を走り抜けたり、曲がりくねった路地を、入ったり出たりするたびに、地名をつぶやいていた。
「ロチェスター通り」と彼はいった。「ここはヴィンセント広場。ヴォクスホール橋通りへ出たぞ。どうもサリー州がわに向かっているらしいな。そう、思ったとおりだ。いま、橋を渡っているぞ。川が見えるだろう」 確かに、広い静かな水面に明かりが輝いているテムズ川の眺めが一瞬目に入った。しかし、馬車は走り続け、やがて向こう岸の迷路のような通りに入り込んだ。
「ワーズワス通り」とわが友はいった。「プライァ£通り。ラークホール小路。ストックウェル広場。ロバート街。コールド?ハーバー小路。行先はあまり上等な場所ではなさそうだ」 実際、私たちが着いたのは、いかがわしい物騒な区域だった。くすんだ煉瓦れんが造りの家並が、角に立ち並ぶ居酒屋のどぎつい照明と、けばけばしい飾りによって引き立つばかりであった。それに続いて、それぞれ小さな前庭のついた、二階建ての住宅が立ち並び、さらにまた、派手な新築の煉瓦造りの建物が延々と続いていた。それは、あたかも大都会という怪物が、郊外に向かってつき出した触角のようだった。
 ようやく私たちの馬車は、新開地に建てられた三番目の家の前で停まった。他に人が住んでいる家はなく、私たちが停まった家にしても、台所の窓に灯火が一つゆらめいているのを別とすれば、辺りの家々と同様、真暗だった。しかし、ノックすると、黄色いターバンを巻き、だぶだぶの服と黄色の帯を身につけた、インド人の召使いが、直ちにドアを開いた。郊外のありふれた三流住宅の戸口にたたずむ、この東洋人の姿には、何か奇妙にそぐわないものがあった。
「主人がお待ちです」と彼はいった。それと同時に、どこかの部屋の中から、細い、かん高い声が聞こえた。
「こちらへお通ししろ」と声の主はいった。「すぐこちらへお通ししろ」

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