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第九章 連鎖が切れる(4)_四つの署名(四签名)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334

 彼はポケットから電報をとり出し、私に手渡した。十二時にポプラ局から打ったものだった。ただちにべーカー街へ行かれたし(と書いてあった)戻らぬときは待たれたし。ショルト事件の一味を追跡中。最後を見とどけたくば、今晩同行されたし。

「いい知らせだ。どうやらまた、足跡を嗅ぎつけたらしい」と私はいった。

「あれ、それじゃ、あの方もやっぱりへまをやったんですか」明らかに満足の様子で、彼は叫んだ。「ベテランでも、よくまかれることがありますからね。もちろん、これが誤報ということも考えられるが、警察官としては好機を逸することは許されんのです。おや、戸口に人がきたらしい。きっとホームズさんだろう」

   重い足どりで階段を登る足音とともに、息を切らしてぜいぜい喘あえぐ音が聞こえた。登る気力も尽きたかのように、一、二度途中で立ちどまったが、ようやく戸口にたどり着くと、中に入ってきた。その姿は、いましがた聞こえてきた音を裏づけるようなものであった。船乗りの服を着、古ぼけた厚地のジャケツの襟元までボタンをかけた老人であった。腰は曲がり、足許はおぼつかなく、ぜん息持ちのような苦しげな呼吸をしていた。短い樫かしの杖にもたれて、深く息を吸い込むと、両肩が波打った。首には染めたスカーフを巻いており、顔は毛深い白いまゆ毛と長い灰色の頬ひげに被おおわれて、鋭い黒い瞳だけが目立っていた。老いさらばえて困窮しているが、かつては相当な暮らしをしていた船長、全体としてはそんな感じの男だった。

「ご老人、ご用件は?」と私がいった。彼は老人特有のゆっくりした、きちょうめんな仕草しぐさで、あたりを見まわした。

「シャーロック・ホームズさんはおいでかね?」と彼はいった。

「いませんけど、ぼくが代理人です。伝言があるなら聞いときますよ」

「本人にじかに話したいんだがね」と彼はいった。

「でもね、ぼくが代理人なんですよ。モーディケアイ・スミスの船のことですか?」

「そう。わしはその船を知っとるよ。それに、探している連中の居所もだ。宝のありかも知ってる。何でも知ってるぞ」

「それならいってください。伝えておくから」

「本人でなければいわんよ」と彼は老人らしい一徹さで繰り返した。

「それなら待っててください」

「いかん、いかん。人のために一日無駄にするのはいやじゃ。ホームズさんがいないんなら、ご本人に探してもらう他はあるまい。あんたら、そんな顔したって、いわないぞ」

 彼は足を引きずりながら戸口の方へ行きかけたが、アセルニー・ジョーンズが前に立ちはだかった。

「おじいさん、ちょっと待って」と彼はいった。「大事な知らせがあるそうだが、行かれては困る。ホームズさんが帰るまで、おいやでも待っていただく」

 老人は戸口ヘ急ぎかけたが、アセルニー・ジョーンズが大きな体で戸口を塞ふさいだので、老人は抗あらがうのを止めた。

「なんてこった!」と、彼は杖で床を叩いた。「わしは紳士に会いにきたのに、どこの馬の骨だかわからんおまえらが、人を捕まえてこんな目に遇わせおる」

「損はさせませんよ」と私はいった。「時間を無駄にさせた分は埋めあわせますから。このソファに坐ってください。そんなに待たせません」

 彼はひどく機嫌をそこねた態度で部屋を横切ると、頬杖をついたまま腰をおろした。ジョーンスと私は再び葉巻に火をつけて、話を始めた。しかし、その時、突然ホームズの声がした。


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