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第十二章 ジョナサン・スモールの不思議な物語(4)_四つの署名(四签名)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3337

『いいか、旦那』二人の中でも背が高くて、荒っぽいほうのアブドゥラ・カーンという奴がいいました。『おれたちの味方になるか、永久にしゃべれなくなるかのどっちかだ。とても大事なことで、おれたちは、ぼんやりしてはいられないんだ。十字架に誓って、真実おれたちの仲間になるか、それとも今晩、死体となって溝の中へ放り込まれ、おれたちは反乱軍の兄弟達のもとへ帰るか、このどっちかだ。中間の道はない。死ぬか、生きるか……どっちだ? 三分間待ってやる。時間は経っていくし、見まわりがくるまでに決着をつけなきゃならないんだから』

『おれに決められるわけがないだろう?』あっしはいいました。『何でおれが必要なのか、おれにはわからない。だが、いっておくが、これが砦の安全をおびやかすことなら、取り引きなんかしないぞ。さっさと突き刺すがいいや』

『砦の安全をおびやかすもんじゃない』そいつはいいました。『ただ、あんたの国の人達がそれを目当てにこの国へやって来ることを、あんたにもやってほしいだけだ。あんたに金持になってもらいたいんだよ。あんたがおれたちの仲間に入るのなら、おれたちはこの裸のナイフにかけて、そしてシーク人が決して破ったことのない、三重の誓いでもっていうが、あんたにも宝の公平な分け前をやろう。四分の一はあんたのものになる。これ以上公平なものはない』

『それなら、宝というのは何だ?』とあっしはたずねた。『おれだって、金持ちになりたいことにかけては、人には負けない。ただそのやり方さえわかればの話だ』

『それなら、誓え』そいつはいった。『あんたの父親の骨と、母親の名誉と、信仰の十字架にかけて、今後とも、おれたちに向かって手を上げないし、おれたちに逆らわない、と』

『よし、誓おう』あっしは答えた。『ただし砦を危険に陥しいれないことだ』

『それなら、おれと仲間は、おれたち四人の間で平等に分ける宝の四分の一を、あんたにやることを誓う』

『三人しかいないじゃないか』とあっしはいった。

『いや、ドスト・アクバーも取り分をもらえるんだ。あの男がくる前に、事情を話しておこう。マホメット・シング、門のところに立って、連中がきたら合図をしてくれ。旦那、ことはこんな次第だが、これをあんたに話すのも、毛唐人に誓いは破れないし、あんたが信用できそうだからた。あんたがほら吹きのインド人だったら、いくらあのまやかしの寺院の神なんかにかけて誓ったとしたって、今頃、あんたの血はこのナイフを染めて、あんたの体は川の中のはずだ。だが、シーク人はイギリス人を知っているし、イギリス人もシーク人を知っている。だから、おれの話を聞いてもらいたい。

 北の州に、土地こそ大きくないが、大変裕福な藩王ラージャがいる。父親から多くのものを受け継いだうえに自分でも相当貯えていた。なにせ卑しい性分で、金は使うことより溜めることしか知らない。何かの騒動が起こったときには、ライオンと虎……つまり土民兵セポイ側と植民会社側の両方と仲よくなろうとした。しかし、白人の支配もこれで終わりだということが、すぐにわかった。国じゅう至るところで、白人が殺された、白人が倒された、という知らせばかりだった。しかし、彼は用心深い男だから、どんなことになろうと、少なくとも宝の半分は自分の手許に残るように計画を練った。金と銀は宮殿の地下室に自ら隠したが、最も高価な宝石や選えりすぐった真珠などは、鉄の箱に入れて腹心の召使いに託し、これが商人に変装してアグラの砦まで運び、国が平和になるまで、そこへ隠匿いんとくしておくことにした。だから、反乱軍が勝てば金銀が手に入り、会社側が勝てば宝物が残ることになる。こうして財産を二つに分けてから、彼は土民兵セポイの方についた。彼の国境では、こっちの方が勢力が強かったからだ。しかし、こうすればだ、いいですかい旦那、彼の財産は、主人に対して忠実だった者たちが当然もらうべきものとなるわけだ。

 この商人に化けた男は、アクメットという名で旅をしているが、今、アグラの町にいて、砦の中へ入りたがっている。道中の連れにあたしの乳兄弟のドスト・アクバーというのがいて、この秘密のことを知っている。ドスト・アクバーは今晩、彼を砦のわきの小門まで案内することになっていて、そのために、この門を選んだんだ。彼は間もなくここへやってきて、ここでマホメット・シングとわたしが待っているのを見つける。ここは人気のないところだし、誰も彼がきたことは知るまい。商人アクメットのことは世間は忘れてしまうだろうが、藩王ラージャの大いなる財宝は、おれたちで山分けだ。旦那、こんな話だが、どうですかい?』


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11/28 18:54