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三 難問(3)_バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3336

「じゃ、どうしろと?」

「ウォータールー駅に着くサー・ヘンリー・バスカーヴィルをどうしたらいいか、ご意見

を伺いたいと思って」

 モーティマー医師は時計を見た。「いまからちょうど一時間十五分すると」

「その方が相続人なんですね」

「ええ、サー・チャールズの死にあたって、みながいろいろと問い合わせた結果わかりま

した若い方で、カナダで農業をやっておられたんです。われわれのところに届いた資料に

よりますと、あらゆる点で立派な方のようです。このことは一介 いっかい の医師としてではな

く、サー・チャールズの遺言執行人として申しているわけです」

「ほかには権利を主張できる人がないってわけですか」

「ええ、ありません。私どもが調べ得た血縁者としては、もうひとりロジャー・バスカー

ヴィルという人があるわけですが、この人はあのサー・チャールズを頭に三人兄弟の末の

方なんです。中の方は若くして亡くなられましたが、サー・ヘンリーはそのご子息という

わけです。末弟のロジャーさんなんですが、これがいわば一家の厄介者で、同家の悪い血

統をうけ継いでいて、聞くところによりますと、同家に残っている、あのヒューゴーの肖

像に生き写しということです。そんなわけで、イギリスにもいたたまれなくなり、中央ア

メリカにとび、一八七四年に黄熱病で亡くなっています。こんなわけで、ヘンリーさんが

バスカーヴィル家の最後の人になります。一時間十五分すると、ウォータールー駅に着く

はずです。今朝サウサンプトン着という電報を受け取りました。さあ、ホームズさん。彼

はどうしたものか、ご助言下さいませんか」

「なぜそのまま、先祖代々の家に入らないんです?」

「それがごく自然のようですが。しかしですね、バスカーヴィル家に入るものはみな、不

吉な運命に見舞わているんですよ。サー・チャールズだって、死にぎわに私と言葉を交わ

すことができていたら、きっと、この古い歴史をもつ家のただひとりの後継者であり、し

かも巨万の財産の相続人を、あんな呪われた屋敷に閉じこめることのないようにと、警告

したに違いありません。しかしまた一方、貧しく荒涼としたあの地方の人々全体の幸福

が、サー・ヘンリーの在否いかんにかかっていることも否 いな めません。また屋敷の主がい

なければ、故サー・チャールズによって着手された福祉事業も頓挫 とんざ してしまいます。私

はこの事件に関して、私心に動かされないよう願っています。だからこそ、こうして真相

をお伝えして、あなたのご意見をうかがおうというのです」

 ホームズはちょっと考えこんでから言った。

「つまり平たく申しますと、問題というのはこうなんですね。ご説では、ダートムアの土

地には悪魔の力が及んでいて、バスカーヴィル家の人が住むのは危険だ、ということです

ね」

「少なくとも、そうだという証拠があると言いきってもいいと思います」

「なるほど。しかし何ですねえ、あなたの怪奇説が正しいとしますと、悪魔の力は相手が

ロンドンにいても、デヴォンシャーにいるのと同様、害を加えるはずでしょう。教区の礼

拝堂みたいに、悪魔のほうも一区域だけしか魔力をもたないというのは、あまり馬鹿げて

やしませんか」

「ホームズさん、あなたはじかにこの事件にまきこまれておられないので、そんなに茶化

ちゃか しておしまいになるが、当人にしてみれば、そうはいかないものですよ。結局あなたの

ご意見というのは、ヘンリー青年はデヴォンシャーにいてもロンドンにいるのと同様安全

だということですね? もうあと五十分です。どうしたらいいとおっしゃるんです」


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