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十五 回想(4)_バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3336

 ステイプルトンがカナダにいる世継 よつぎ のことを知らなかった、ということはあり得る

が、いずれにしろ、すぐに友人のモーティマー医師から聞いたんだろう。さらに医師から

ヘンリー・バスカーヴィルの到着について、そっくり全部きいたのだ。最初の考えでは、

カナダから来る見も知らぬ若者なんぞ、何もデヴォンシャーまで来ないでも、ロンドンで

片づけられるということだった。ステイプルトンは、細君がサー・チャールズをわなにか

ける手伝いを拒否してからというものは、彼女を信頼しなかった。それで彼女を自在にで

きなくなるのを怖れて、彼女を目のとどかぬ所へおくだけの勇気がなかったんだ。ロンド

ンへ連れていったのもそれなんだね。

 二人はクレイヴン街のメックスバラという、知人、紹介者だけを泊める特定ホテルに

泊った……そこは、僕の代理が証拠集めに洗ったホテルの中に入っていたので、僕にもわ

かったわけだが。そこに細君を監禁しておいて、つけひげなどで変装し、モーティマー医

師をベイカー街まであとをつけ、さらに駅からノーサンバーランド・ホテルへと尾行し

た。細君は彼の計画について何か思い当るふしがあった。しかし彼女は夫を非常にこわ

がっていた。つまり獣みたいに乱暴に扱われることからくる恐ろしさなんだね。だから彼

女は危険だと知っていても、その人に警告の手紙を書く勇気がなかったんだ。もしその手

紙がステイプルトンの手にでもはいったら、彼女自身の命だって無事ではなかっただろう

からね。そこであのとおり、一策を案じて、手紙になるように文字を切り抜き、手跡を隠

して宛名を書いた。その手紙がサー・ヘンリーにとどいて、最初の警告文となったんだ。

 さて、ステイプルトンだが、犬を使わねばならぬとなれば、犬に後を追わせることがい

つでもできるように、何かサー・ヘンリーが身につけているものを手に入れることがまず

必要だ。これも、彼一流の敏速さと大胆さですぐやってのけた。ホテルの靴磨きか部屋女

中かが袖の下をたっぷりつかまされて、あの男の企みに手をかしたことは疑いない。とこ

ろが、たまたま手に入れた最初の靴は新品で役にたたなかったので、それをかえして他の

古靴ととりかえた……ここだよ、最も面白いところは。つまり、ここでわれわれが扱って

いるのは伝説じゃなくて、現実の犬だってことが、ついにはっきりして来たんだからね。

だって古物の靴をほしがって、新しいのはいらないというんでは、しかも片足だよ……ほ

かにぴったり符合する説明はないじゃないか。事件がとっぴで怪奇 グロテスク なものであればあ

るだけ、注意深く調べてみる価値があるもんだ。しかも正しく考えをすすめ、科学的に

扱っていくならば、事件を複雑なものにしている核心が、実はそれを最もはっきりと見せ

てくれるものなんだよ。

 そこで次の朝、われわれはご両人の訪問をうけたんだ。後からはステイプルトンが絶え

ずつきまとっていたわけだね。この男の行動全体からだけでなく、僕らの部屋のことや僕

の風采 ふうさい などをよく心得ているところから推して、このステイプルトンという男の犯罪経

歴なるものは、単にこのバスカーヴィル事件だけにとどまるもんじゃない、と考えるよう

になった。


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11/24 14:59