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Ⅰ 比ひ較かく・程てい度ど
2ふたつ以い上じょうのものを比くらべたり、ある状じょう態たいがどのくらいそう
なのか、その程度を言いったりしたいとき
★3
1 ~ほど・~ほどの・~ほどだ
2 ~くらい・~くらいの・~くらいだ
3 ~ほど~はない・~くらい~はない
4 ~に限かぎる
★2
5 ~くらいなら
6 ~だけの
7 ~だけまし
★1
8 ~にもまして
9 ~ないまでも
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Ⅰ・1 ~ほど・~ほどの・~ほどだ ★3
【~の程てい度どに】
①悩なやんでいたとき、友人が話を聞いてくれて、うれしくて涙なみだが出るほどだっ
た。
②1人ひとり暮ぐらしを始はじめたころは、泣なきたくなるほど寂さびしかったけど、今
はもう大だい丈じょう夫ぶです。
③きのうは山やま登のぼりに行って、もう1歩ぽも歩あるけないほど疲つかれました。
④いじめは子どもにとっては死しにたいほどのつらい経けい験けんなのかもしれない。
⑤雷かみなりが落おちたかと思おもうほど大きい音おとがした。
⑥国こっ家か試し験けんに合ごう格かくした。大おお声ごえで叫さけびたいくらいうれし
い。
⑦その山やま道みちは子どもでも歩あるけるくらいの楽らくな坂さかです。
⑧このクイズはむずかしくない。ちょっと考かんがえれば小しょう学がく生せいでもでき
るくらいだ。
接続 普ふ通つう形けい(主おもにイAとVの現げん在ざい形けい)+ほど・くらい
▶1)ある状じょう態たいがどのくらいそうなのか、その程度を強きょう調ちょうして言いいたいときに使つかう。
2)話す人の意い志しを表あらわさない動どう詞しや、動詞の「たい」の形かたちにつくことが多おおい。
3)⑤は「~かと思うほど」の形で、「実じっ際さいにそうなったのではないが、そのような極きょく端たんな状態か
と感かんじられるほど程度が大きい」と比ひ喩ゆで言うときの表ひょう現げん。
4)Ⅰ・1「~ほど」とⅠ・2「~くらい」は意い味み・用よう法ほうがほとんど同おなじだが、「~ほど」は程度が高
い場ば合あいに使われることが多い。
╳痛いたいけれど、がまんできるほどの痛さだ。
◯がまんできないほどの痛さだった。
→6課かⅡ・1「~ば~ほど・~なら~ほど・~ほど」
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Ⅰ・2 ~くらい・~くらいの・~くらいだ ★3
【~の程てい度どに】
▶Ⅰ・1「~ほど」と意い味み・用よう法ほうがほとんど同おなじ。
→16課かⅡ・2「~くらい」
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Ⅰ・3 ~ほど~はない・~くらい~はない ★3
【~は最さい高こうに~だ】
①「暑あついわねえ」
「まったく今年の夏なつほど暑い夏はないね」
②困こまっているとき、思おもいやりのある友ゆう人じんの言こと葉ばほどうれしいもの
はない。
③旅りょ行こう前まえに、あれこれ旅行案あん内ないの本を見るほど楽たのしいことはな
い。
④彼かれぐらいわがままなやつはいない。
⑤やってしまった後あとで後こう悔かいするくらいつまらないことはない。
接続 Vる/N+ほど~はない・くらい~はない
▶1)主おもに名めい詞しに続つづき、話す人が主しゅ観かん的てきに「そのことは最さい高こうに~だ」と感かんじ、強
きょう調ちょうして言いうときに使つかう。
2)客きゃっ観かん的てきな事じ実じつについては使わない。
╳うちの課かで東ひがし山やまさんぐらい若わかい人はいない。
◯うちの課で東山さんが一番若い。
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Ⅰ・4 ~に限かぎる ★3
【~が一いち番ばんいい】
①1日の仕し事ごとを終おえたあとは、冷ひえたビールに限ります。
②パソコンについてわからないことがあるときは、山やま田ださんに聞くに限ります。
③子どもの育そだて方かたで問もん題だいを抱かかえているときは、1人ひとりで悩なや
んでいないで、経けい験けん者しゃの意い見けんを聞いてみるに限る。
④太ふとりたくなければ、とにかくカロリーの高いものを食べないに限る。
接続 Vる・Vない/N+に限る
▶1)話す人が主しゅ観かん的てきに「~が一番いい」と思おもって、そう主しゅ張ちょうするときに使つかう。
2)客きゃっ観かん的てきな判はん断だんを言いうときは使わない。
╳医い者しゃ「この病びょう気きを治なおすには、手しゅ術じゅつに限かぎりますよ」
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Ⅰ・5 ~くらいなら ★2
【~ことをがまんするなら】
①自じ由ゆうがなくなるくらいなら、一いっ生しょう独どく身しんでいる方がいい。
②あんな店てん長ちょうの下で働はたらくくらいなら、転てん職しょくした方がましだ。
③こんな面めん倒どうな道どう具ぐを使うくらいなら、自分の手でやった方が早い。
④あんな込こんだ電車に乗のるくらいなら、早はや起おきしてすいた電車に乗りたい。
接続 Vる+くらいなら
▶「~くらいなら…」の形かたちで、話わ者しゃがとてもいやだと思っている行こう為い(~)を取とり立たて、「そん
ないやなことに比くらべれば、…の状じょう態たいの方がいい」と言いたいときに使う。
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Ⅰ・6 ~だけの ★2
【~に相そう当とうする】
①とうとう看かん護ご師しの免めん許きょが取とれた。この3年ねん間かん努ど力りょくし
ただけのかいはあった。
②この本を買いたいが、5,000円払はらうだけの価か値ちがあるだろうか。
③携けい帯たい電話をかけたりかさをさしたりしながら自転車に乗のることを禁きん止し
したそうだ。それだけの効こう果かが期き待たいできるのだろうか。
④またプリンターの調ちょう子しがおかしい? 高い修しゅう理り代だいを払はらっただ
けのことはやってほしいね。
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+だけの
▶「~だけのN」の形かたちで、「~に相そう当とうするNがある」と言いたいときの表ひょう現げん。
→3課か3「~だけ・~だけの」
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Ⅰ・7 ~だけまし ★2
【別のもっと悪い状じょう況きょうよりはいい】
①「大おお木き君くん、会かい議ぎだっていうのに、外がい出しゅつしちゃいましたよ」
「書しょ類るいをそろえてくれただけましだよ」
②「区く民みん公こう園えんの中に区の事じ務む所しょが建たって、公こう園えんはだい
ぶ狭せまくなりましたね」
「住じゅう民みんが大事にしている木が残のこっただけましですよ」
③「せっかくの運うん動どう会かいなのに、天気予よ報ほう、当あたりませんでしたね」
「雨が降ふらないだけましですよ」
④今度の会かい長ちょうはいろいろ問題がありそうだけど、新しん世せ代だいの人にん間
げんであるだけましかな。
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+だけまし
▶1)「もっと悪いことが考えられるが、最さい低てい限げんのことは得えられた」と言って、不ふ満まんだが相あい手
てや状じょう況きょうを許ゆるす気持ちで使う、やや口こう語ご的てき表ひょう現げん。
2)「まし」は「いいとは言えないが、ほかのもっとよくない状況よりはいい」という意味のナ形けい容よう詞し。
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Ⅰ・8 ~にもまして ★1 W
【~以上に】
①組そ織しきの運うん営えいにおいて、資し金きん力りょくにもまして重じゅう要ような
のはリーダーの指し導どう力りょくだ。
②きのう友だちが結けっ婚こんするという手紙が来たが、それにもましてうれしかったの
は友だちの病気がすっかり治なおったということだった。
③家か庭ていや施し設せつで十分なケアが得えられない子どもたちのことは何にもまして
急を要ようする問題だ。
接続 N+にもまして
▶1)「~もそうだが、それ以上に」と言いたいときに使う。
2)③のように、「疑ぎ問もん詞し+にもまして」の形かたちでは、「何よりも・だれよりも・どこよりも」などの意
味になる。
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Ⅰ・9 ~ないまでも ★1
【~まではできないが/~まではできなくても】
①ゆっくり話はできないまでも、たまには顔かおを見せるぐらいはしてほしい。
②選せん手しゅになれないまでも、せめて趣しゅ味みでスポーツを楽しみたい。
③給きゅう料りょうは十分とは言えないまでも、これで親おや子こ4よ人にんがなんとか
暮くらしていけます。
④営えい業ぎょう目もく標ひょうは100パーセント達たっ成せいしたとはいえないまでも、
一いち応おう満まん足ぞくすべき結けっ果かだといえる。
接続 Vない+までも
▶「~の程てい度どには達たっしなくても、それより下の程度には達する」という意味。「せめて・少なくとも」という
気持ちを込こめて使う。