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Ⅱ 対たい比ひ
2ふたつ以い上じょうのものを対比させて言いうとき
★3
1 ~に対たいして
2 ~に反はんして・~に反する・~に反した
3 ~反はん面めん・~半はん面めん
4 ~というより
5 ~かわりに
6 ~にかわって
★2
7 ~一いっ方ぽう(で)
8 ~どころか
9 ~ようか~まいか
★1
10 ~にひきかえ
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Ⅱ・1 ~に対たいして ★3
【~と対たい比ひして考かんがえると】
①活かっ発ぱつな姉あねに対して、妹いもうとは静しずかなタイプです。
②日に本ほん海かい側がわでは、冬ふゆ、雪ゆきがよく降ふるのに対して、太たい平へい
洋よう側がわでは晴はれの日が続つづく。
③駅えきの北きた側がわはビルや商しょう店てんが多おおいのに対して、南みなみ側がわ
は静しずかな住じゅう宅たく街がいが広ひろがっている。
④今までの炊すい飯はん器きは使つかい方かたが簡かん単たんだったのに対して、この新
あたらしいタイプはいろいろな炊たき方かたができる。
接続 N/普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nな・Nである)+の+に対して
▶ある事こと柄がらについて2ふたつの状じょう況きょうを対比して言いうときに使つかう。
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Ⅱ・2 ~に反はんして・~に反する・~に反した ★3
【~とは反はん対たいに】
①予よ想そうに反して試し験けんはとてもやさしかったです。
②部ぶ長ちょうの期き待たいに反して、彼かの女じょは十じゅう分ぶん力ちからを発はっ
揮きしないで会かい社しゃをやめてしまった。
③今こん回かいの試し合あいは、多おおくのファンの願ねがいに反する結けっ果かに終お
わってしまった。
接続 N+に反して
▶「Nに反して」の形かたちで、Nには、予想・期待・意い図となどの言こと葉ばが来ることが多おおい。「結けっ果かはそれ
らとは異ことなる」と言いいたいときに使つかう。
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Ⅱ・3 ~反はん面めん・~半はん面めん ★3
【一いち面めんでは~と考かんがえられるが、別べつの面から見ると】
①彼かの女じょはいつもは明あかるい半面、寂さびしがりやでもあります。
②郊こう外がいに住すむのは、通つう勤きんには不ふ便べんな反面、自し然ぜんに近ちか
く生せい活かつするというよさもある。
③コンピューターに頼たよる生せい活かつは、人にん間げんの生活を便べん利りで豊ゆた
かにする反面、素そ朴ぼくな人間らしさを失うしなわせることになるのではないか。
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+反面・半面
▶1)ある事こと柄がらについて2ふたつの反はん対たいの傾けい向こうや性せい質しつを言いうときの言い方かた。
2)漢かん字じは、より対たい立りつ的てきなことを言う場ば合あいは「反面」の方ほうを使つかうことが多おおい。
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Ⅱ・4 ~というより ★3
【~という言いい方かたをするより、むしろ】
①コンピューターゲームは子どものおもちゃというより、今や大人おとな向むけの娯ご楽
らく商しょう品ひんの代だい表ひょうである。
②「この辺へんはにぎやかですね」
「にぎやかというより、人通どおりや車の音おとでうるさいくらいなんです」
③子ども「選せん挙きょで投とう票ひょうするというのは、国こく民みんの義ぎ務むなん
でしょう」
父ちち親おや 「義務というよりむしろ権けん利りなんだよ」
④(試し合あいが終おわって)
「やっと勝かったね」
「というより、負まけなかったというだけじゃない?」
接続 ▶2)参さん照しょう
▶1)「~というより…」の形かたちで、あることについて表ひょう現げんしたり判はん断だんしたりするとき、「~と
言うより、(言こと葉ばを変かえて)…と言った方ほうが当あたっている」と言いたいときに使つかう。
2)接せつ続ぞくは、取とり上げようとする言葉にそのまま続つづける場ば合あいが多い。
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Ⅱ・5 ~かわりに A ★3
【~の代だい理りとして/~するのではなく】
①出しゅっ張ちょう中ちゅうの課か長ちょうのかわりに、わたしが会かい議ぎに出ます。
②いつものコーヒーのかわりに、安やすい紅こう茶ちゃを飲のんでみたがけっこうおいし
かった。
③市し役やく所しょに行くのに、自じ分ぶんで行くかわりに、姉あねに行ってもらった。
④メールをするかわりに、今日はひさしぶりで長い手て紙がみを書いた。
接続 Vる/Nの+かわりに
▶①②は「人や物ものの代だい理りとして、別べつの人や物が」という意い味みで、③④は「ふつうすることをしないで
別のことをする」という意味。
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Ⅱ・5 〜かわりに B ★3
【~の代だい償しょうとして】
①この辺へんは買かい物ものなどに不ふ便べんなかわりに、自し然ぜんが豊ゆたかで気き
持もちがいい。
②現げん代だい人じんはさまざまな生せい活かつの快かい適てきさを手てに入れたかわり
に、取とり返かえしのつかないほど自然を破は壊かいしてしまったのではないか。
③ジムさんに英えい語ごを教おしえてもらうかわりに、彼かれに日本語を教えてあげるこ
とにした。
④夫おっとは本は読まないかわりに、新しん聞ぶんはすみずみまで読む。
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+かわりに
▶①②は「プラス(マイナス)のことがあるが、反はん対たいにマイナス(プラス)のこともある」という意い味み。ま
た、③④は「あることの代だい償しょうに別べつのことをする」という使つかい方かた。
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Ⅱ・6 ~にかわって ★3
【~の代だい理りとして/~ではなく】
①本ほん日じつは駅えき工こう事じ中ちゅうのためB駅行き急きゅう行こう電車は、4番ば
ん線せんにかわって6番線から出ます。
②本日は社しゃ長ちょうにかわり、私わたくし、中なか川がわがごあいさつを申もうし上
げます。
③普ふ通つうの電話にかわって、各かく家か庭ていでテレビ電話が使つかわれるようにな
る日もそう遠とおくないだろう。
接続 N+にかわって
▶1)「いつものN、通つう常じょうのNではなく」と言いいたいときに使う。やや硬かたい言い方かた。
2)Ⅱ・5「~かわりに A」で言い換かえられることが多い。
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Ⅱ・7 ~一いっ方ぽう(で) ★2
【それから、また】
①いい親おやは厳きびしくしかる一方で、ほめることも忘わすれない。
②1人ひとり暮ぐらしは気き楽らくである一方、寂さびしさを感かんじることも多い。
③この出しゅっ版ぱん社しゃは大たい衆しゅう向むけの雑ざっ誌しを発行する一方で、研
究書も多く出版している。
④わたしの家では兄が父の会社を手て伝つだう一方、姉がうちで母の店を手伝っている。
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+一方(で)
▶①②のように、ある事こと柄がらについて2ふたつの面めんを対たい比ひして示しめしたり、③④のように、あること
をするのと並へい行こうして別のこともすると述のべたりするときに使われる。
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Ⅱ・8 ~どころか A ★2
【~はもちろん、~も】
①彼かれは中国語どころか、タイ語やベトナム語もよくできます。
②学校の制せい服ふくのファッションは、日本の女の子どころかフランスの女の子にも大
だい人にん気きらしい。
③うちの父はお酒さけはまったくだめで、ウイスキーどころかビールも飲のめない。
④となりの部へ屋やに住すむ人は変へんな人だ。出で会あっても話をするどころか、あい
さつもしない。
接続 N/普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+どころか
▶「~どころか…も(まで・さえ、など)」の形かたちで、「~はもちろん、もっと程てい度どの重おもい…もそうだ」
または「~はもちろん、もっと程度の軽かるい…もそうではない」という意い味みを表あらわす。
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Ⅱ・8 ~どころか B ★2
【~なんてとんでもない、事じ実じつは~だ】
①タクシーで行ったら道がこんでいて、早く着くどころかかえって30分も遅ち刻こくして
しまった。
②「先せん日じつお貸かしした本、どうでしたか。退たい屈くつだったんじゃありません
か」
「退屈などころか寝ねるのも忘わすれて読んでしまいましたよ」
③休きゅう日じつに子ども連づれで遊ゆう園えん地ちに出かけるのは、楽しいどころじゃ
なくほとんど苦くるしみだ。
接続 N/普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nである)+どころか
▶1)「~どころか…」の形かたちで、~という予よ想そうや期き待たいを完かん全ぜんに否ひ定ていして、「事じ実じ
つはその正せい反はん対たいの…だ」と言いたいときに使う。
2)「~どころか」は「~どころではなく」の言い方もある。
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Ⅱ・9 ~ようか~まいか ★2
【~をしようか、するのはやめようか】
①朝出かけるとき、かさを持っていこうかいくまいかと迷まようのはいつものことだ。
②9月に大切な試験があるので、夏休みに国へ帰ろうか帰るまいか、考えています。
③今こん晩ばん11時からのテレビの特別番ばん組ぐみを見ようか見まいか、迷まよってい
ます。
④知ち事じは博はく覧らん会かいの開かい催さいを延えん期きしようかするまいか、最さ
い後ごの決けつ断だんを迫せまられていた。
接続 Vよう+か+Vる+まいか(動どう詞しⅡ・Ⅲは「Vない+まいか」もある。「する」は
「すまいか」もある)
▶1)話わ者しゃがどちらがいいかと迷ったり、考えたりするときに使う。
2)「Vまい」は「Vよう」の否ひ定てい形けいで、古い言こと葉ばではあるが、決きまった言い方として現げん在ざい
でも使われる。
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Ⅱ・10 ~にひきかえ ★1
【~とは反はん対たいに/~とは大きく変かわって】
①ひどい米こめ不ぶ足そくだった去年にひきかえ、今年は豊ほう作さくのようです。
②父が節せつ約やく家かなのにひきかえ、母はほんとうに浪ろう費ひ家かだ。
③前の課か長ちょうが仕事にきちょうめんだったのにひきかえ、今の課長はなにごとにも
おおらかですね。
接続 N/普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nな・Nである)+の+にひきかえ
▶前の事こと柄がらとは「正せい反はん対たいに」とか「大きく変かわって」というような主しゅ観かん的てきな気持ちを
こめて使う。