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熊野の荒ぶる神々_日本の「神話」と「古代史」がよくわかる本_走进日本_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334
熊野の荒ぶる神々
 失意の東征軍を救った霊剣と高天原より遣わされし聖なるカラス
◆熊野にて邪気に当たり意識を失う東征軍
 兄イツセを失ったイハレビコの軍は、失意の中、太陽を背にする熊くま野のに上陸す
る。熊野村に入ったところ、大きな熊が目の前を通ったかと思うと、イハレビコばかりか
兵士たち全員が気を失い倒れ伏してしまった。熊野の荒ぶる神々の邪気に当たったためで
ある。戦闘不能に陥った一行だが、そこへ、熊野のタカクラジが一振りの刀を持って現わ
れた。するとイハレビコは「長々と寝ていたものだ」と正気を取り戻す。そしてタカクラ
ジの霊剣で邪気をはらうと、兵士たちも元気を取り戻した。
 さて、気になるのは剣を入手したいきさつである。タカクラジは意外な夢のお告げの話
を語った。夢の中でアマテラスとタカミムスヒが葦原中国の乱れを心配してタケミカヅチ
に手助けに行くように命じたのだという。するとタケミカヅチは自分の代わりに、かつて
国を平定した際に用いたフツノミタマという太た刀ちをタカクラジの倉に降らせようと進
言したのだという。翌朝タカクラジが倉の中を見ると、夢の通り太刀が置かれていたた
め、それを献上しにやって来たという。
 熊野におけるこうした苦闘の神話は、古代の天皇が一代ごとに都を遷し、新都で大だい
嘗じよう祭さいを行なう慣わしと関わりがある。新都建設の地を探すことを国くに求まぎ
というが、よりよい地に着くには荒涼の地を経るのが慣いだったのである。当時、異郷と
見られていた熊野はまさに荒涼の地にふさわしい場所だったといえよう。
 さて、こうまでして熊野に立ち寄った一行だが、熊野山中にはまだまだ荒々しい神が多
かった。そのため、高天原の神々はヤタガラスを遣わし、イハレビコ一行を導いた。やが
て一行が吉野川へと至ると、ニヘモツヒコ、イハオシワクノコと、次々に土地の首長が名
乗り出てくる。この名乗りの逸話は現地の首長たちが服従したことを示しているという。

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