【第三章の神々】
木コノ花ハナ之ノ佐サ久ク夜ヤ ビ売メ
噴火を鎮める役割を担った女神
高天原から降臨したニニギと一夜の契りを結び、自ら産屋に火を放って、そこでホデ
リ、ホスセリ、ホヲリの三柱の御子を出産した女神である。安産の神として信仰を集めて
いる。
また、火中で三人もの子供を出産したことから富士山の荒ぶる神を鎮めるとみなされ、
江戸時代の後期からは富士山の山神として各地の浅間神社で祀られるようになった。火の
中から新たな生命が誕生するのは、稲積を焼いて穀霊を呼ぶ農耕儀礼や焼畑農業から生ま
れた神話だとも考えられる。