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クマソ征討_日本の「神話」と「古代史」がよくわかる本_走进日本_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334
クマソ征討
 剛力の御子を勇者へと変貌させたクマソタケル兄弟征討
◆御子の力に恐れを抱いた天皇は西征を命じる
 ほどなくヲウスは父オホタラシヒコからクマソタケル兄弟征討を命じられる。クマソは
「熊襲」と書き、現在の熊本県と鹿児島県付近の南九州地域に勢力をふるっていた、大和
朝廷に従わない人々である。
 ヲウスが最初に向かったのは、伊い勢せにてアマテラスに仕える叔母ヤマトヒメのも
と。出陣に喜び勇むヲウスにヤマトヒメは、巫女の衣装を授け、この甥を見送った。
 さて、九州に下りクマソの領域に入ったものの、クマソタケル兄弟の館の守りは固く、
そう簡単には踏み込めない。そこでヲウスは一計を案じる。彼は髪を女性のように束ね、
叔母から借りた衣装をまとう。するとどこから見てもたおやかな乙女が出来上がった。こ
うして彼は、クマソタケルの新築祝いの祝宴に出席する女性たちにまぎれて、邸宅内に入
り込んだ。
 実はヲウスがここで女装したのは、計略のためだけではない。古来、男たちは巫女の力
にあやかるために女装することも少なくなかった。女性の霊力、とくにこの場合は呪力を
持つヤマトヒメの霊力をもわが物にせんと女装したのである。
クマソ征討
こうしてクマソタケル兄弟の館に入り込んだヲウスだが、天皇の子であるヲウスの優雅
な立ち居振る舞いと気品ある顔立ちが目に留まらないはずはない。すぐにクマソタケル兄
弟に気に入られ、そのそばに侍はべる。こうして難なくクマソタケル兄弟の懐に入り込ん
だヲウスは、宴もたけなわになった頃合を見計らって剣を抜き、まずは兄を刺殺した。弟
も突然の事態に慌てて逃げ出すのが精一杯。ヲウスはすかさず弟を捕らえると尻から剣を
刺し通した。
 するとクマソタケルは苦しい息の中からヲウスにその名を尋ねてきた。ヲウスは天皇の
命で征伐に来たと素性を明かす。するとクマソタケルは、
「信まことに然しかならむ。西の方に吾二人を除おきて、建く強こわき人無し。然るに大
おお倭やまとの国くにに、吾二人に益まさりて建き男は坐いましけり。ここをもち吾御名
を献たてまつらむ。今より後は、倭やまと建たけるの御子と称ふべし」
 と告げた。つまり、今まで自分たち兄弟が一番強いと思っていたが、倭やまとにはもっ
と強い人がいたものだ。私がヤマトタケルという名を与えますと言ったのである。当時、
敵が名を献上するというのは服属をも意味していた。
 ここに古代日本に燦さん然ぜんと輝くヤマトタケルの名が誕生したのである。
 こうして見事クマソを平定したヤマトタケルは九州をあとにするのだった。

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