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蟻あり 四_小泉八云_日本名家名篇_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3336
 さて、次は更に不思議な事実を──
 この世界の絶え間ない労役はローマの女神ウェスタの世界以上である。その中に時々男を見掛けるのは事実だが、ごく特別な季節にのみ現れ、労働者や仕事に対しては何もしない。敢えて労働者に話しかける者は誰もいないだろう──おそらく危機を共有する異常な状況下でもない限りは。それに、労働者は男と話すつもりは無いだろう──この変わった世界で、男という物は下位の存在であり、闘争や労働の資格は無いに等しく、必要悪としてだけ容認されている。女の特権階級のひとつ──種族の選ばれし母親達──は特別な季節のごく短い時期の間、恥を忍んで男の配偶者となる。しかし選ばれし母親は、働かずに夫達を受け入れる義務がある。労働者は男との交際を、夢でさえしたくない── このような交際は最もくだらない時間の無駄を意味するとの思いや、労働者は必然的に全ての男を言語に絶する侮蔑の目で見るからだけでも無いが、労働者には結婚生活の能力が無いからである。
幾つかの労働者には確実に単性生殖の能力が有り、父親の無い子供を生む。原則だからとはいえ、道徳的本能に限定して見れば労働者は本当に女らしい、「母性」と呼ばれる優しさと忍耐と先見の明の全てを持っているが、仏教伝説の龍の聖女の性のように、その性別が消失している。
 捕食生物や敵国に対する防衛のため、労働者が武器を配布した上で、大きな軍隊が防衛に回る。この戦士は労働者とは比較しようもないほど大きい(少なくとも幾つかの共同体では)一見しただけでは、それが同じ種族だと信じるのは難しい。保護する労働者より百倍以上大きな兵士は珍しくない。しかしこの全ての兵士はアマゾネスである──あるいはもっと正確に話せば半女性である。力強く働けるが、戦闘と主に重い物を引くための頼りにされ、その有用性は技能より力が必要なこの方面に制限される。
〔おそらく大部分がそれほど単純ではないのだろうが、どうして男よりも女が兵隊と労務者において進化論的に特化したのだろう、という疑問が出てくる。それには大きな自信を持って答えることはできない。しかし自然経済の観点からは問題を解明できる。生命の多くの形態では、大きさとエネルギーの点ではメスがァ」より大いに優れている──おそらく、この場合では、完全なメスに本来備わっていた生命力のより大きな備蓄は特別な戦闘階級の育成のため、より迅速かつ効果的に利用されたのかもしれない。豊穣なメスに存在する生命を与えることに消費されるであろうエネルギーの全てが、ここでは攻撃的な力や労働の才能の進化のため転用されたように見える。〕 正真正銘の女──選ばれし母親達──は実のところ非常に少なく、女王のように扱われる。要望をするようなことはほとんど無く、非常に頻繁かつ大きな敬意が待っている。生存の介護のことごとくに安心する──子孫を残す義務を除く。夜も昼も可能な限りの方法で介護をされる。単独では過剰なほど豪華な満足である──子孫の利益のため、王として適切に食べて飲んで休息しなければならず、その生理的な特殊化は、このような耽溺の自由が認められている。外出することはほとんど無く、強力な護衛でも伴わなければ有り得ず、同様に無用な疲労や危険を招くようなことは許されない。おそらく外出には大した欲求を持っていないだろう。彼女達を中心にして種族の活動が行われる。全体の知能と労働と節約は、単にこの母親達とその子供達の福祉に向けて管理される。
 しかし種族の最下位に、母親達の夫である男を──必要悪として──位置付ける。特別な季節にのみ現れるのは既に観察したが、その生涯は非常に短い。高貴な家柄の自慢など少しもできないにもかかわらず、王族との婚姻が運命付けられている。王族の子孫ではないが、処女から生まれたので──単性生殖の子供であり──特にその理由から、劣等な存在、いくらか不可解な隔世遺伝の偶然の産物である。しかし男の内の幾らかは、選ばれて共和国から許容されるが数は少ない──選ばれし母親達の夫として仕えるのに、かろうじて足りる程度で、この少数は任務が終了するとほとんど間を置かず死滅する。自然の法則が意味するこの驚くべき世界は、ラスキンが教える努力の無い生活は罪悪と一致し、男は労働者や戦士のようには役立たないから、生存の重要性は一時的にしかない。実のところ屠殺されるのではない──テスカ?ポリトカの祭りに選ばれ、心臓をえぐり取られる前の二十日間に新婚生活を許された、アステカの生け贄とは違う。しかし高度な幸運の中にあっても、不幸はそれほど小さくない。想像してほしい、王の一夜の花婿となるよう運命付ける知識で育てられた若者達である──婚礼の後では生きていく道徳上の権利を持たないだろう──婚礼は全員のそれぞれに、死の確信を物語るだろう──より長く生きる妙齢の未亡人に嘆き悲しみを望むことさえできない……多くの世代の内の一回なのだから!
 

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